トランプ氏訪中直後にプーチン氏訪中 中ロの思惑とは

2026/05/21
更新: 2026/05/21

トランプ大統領が訪中日程を終えた直後の5月19日夜、ロシアのプーチン大統領が北京に到着した。専門家の間では、プーチン氏が慌ただしく訪中した背景には、米中接触の「本音」を探る狙いがあるとの見方が出ている。実態としては、中ロ双方が思惑を抱えた「利益分配会議」であり、両国が対応策を協議したとの分析もある。

中国共産党系メディアによると、19日午後11時12分、プーチン氏を乗せた専用機が北京首都国際空港に到着した。出迎えには外交部長の王毅が姿を見せた。プーチン氏は滞在中、中国共産党(中共)トップの習近平と会談する予定である。

著名メディア人の李承鵬氏は20日、Xへの投稿で「25回目の訪中となるプーチン氏が首都空港に降り立ったが、歓迎に集まった若者たちはプラスチック製の造花を掲げ、軍楽隊こそあったものの、トランプ氏訪中時ほどの盛大な演出ではなかった」と指摘した。出迎えも王毅外相のみで、式典は短時間だったという。

李氏は、プーチン氏の訪中について「目的は三つある」と分析した。第一に資金支援を求めること、第二にトランプ氏に関する情報収集、第三に対策協議である。さらに「プーチン氏は以前より明らかに老け込み、落ち着きを欠きながらも平静を装っていた。この数日、ウクライナ軍の無人機攻撃が激化しているためだ」と述べた。プーチン氏は北京にわずか1日滞在した後、戦況逼迫を理由に急いで帰国したという。

独立系評論家の蔡慎坤氏も、「今回で習近平とプーチン氏の会談は40回目となる。表向きは中ロ強権政治の頂点同士の握手に見えるが、実際には双方が腹の内を隠した利益調整の場だ」と論評した。

さらに、トランプ氏の北京訪問直後という絶妙なタイミングでプーチン氏が訪中した点について、「北京が米ロ双方を天秤にかける高度な均衡外交を展開している証左だ」との見方を示した。

蔡氏は、「習近平にとって、数日前にトランプ氏と会談した直後にプーチン氏を抱き込むのは、『ロシアのカードをいつでも切れる』というメッセージをワシントンに示す意味がある」と分析した。一方で、プーチン氏が急遽訪中したのは、米中接触の核心的な情報を探るためであると同時に、国際舞台で自身の存在感を誇示し、「孤立していない」ことを示す狙いもあるという。こうした動きは、ロシアが中米対立の中で一枚の駒へと転落した現実を物語っているとの指摘も出ている。

また、中共の外交システムに近い関係者を名乗る薛志強さんは、大紀元に対し、「プーチン氏訪中の重要目的の一つは、『トランプ・習会談』の詳細情報を把握することにある」と証言した。そのため、北京滞在中に具体的な視察日程などはほとんど組まれていなかったという。

薛さんによれば、中共外交部内では、「プーチン氏は、トランプ氏が習近平に何を語ったのか、特にロシア・ウクライナ戦争について新たな提案や立場があったのかを知りたがっている」とみている。プーチン氏が本当に懸念しているのは、ロシアによるイラン支援に対するアメリカの不満だという。すでにトランプ氏と習近平は「イランの核保有反対」で一致しており、中共側もイランへの武器供与を行わないと約束した。

4月以降、ロシア軍は一部戦線で苦戦を強いられ、ウクライナ側は約400平方キロの領土を奪還したと発表している。こうした中、プーチン氏訪中直前には、英紙『フィナンシャル・タイムズ』が「習近平が先週のトランプ氏との会談で、『プーチン氏はウクライナ侵攻を後悔している』と語った」と報じ、波紋を広げた。

この報道は、中共側の対露姿勢に微妙な変化が生じている兆候として受け止められた。ただ、中共外交部はこの敏感な情報を否定しており、トランプ氏自身もインタビューで「そのような話は聞いていない」と述べている。

時事評論家の李林一氏は、新唐人テレビの取材に対し「もしこの報道が事実なら、中共はロシア・ウクライナ戦争を交渉カードとして利用し、トランプ氏との協議材料にしていることになる」と指摘した。また、「習近平がそのような発言をしたのは、もはやプーチン氏を以前ほど重視していないことの表れだ」との見方を示した。

一方、時事評論家の藍述氏は、「習近平がこのタイミングでそのような発言をしたのは、実際には米政府による対ロ圧力を和らげ、プーチン政権に政治・経済・外交面でより大きな回旋余地を与えるためだ」と分析している。

新唐人