外資 中国の商業用不動産を相次ぎ売却 取得額の半値も

2026/08/06
更新: 2026/08/06

中国の不動産市場が長期低迷するなか、海外投資家が中国で保有する商業施設やオフィスビルを、取得価格を大幅に下回る水準で売却する動きが広がっている。

一方、中国ではオフィスの供給増と空室率の上昇が続いており、不動産市況への下押し圧力がさらに強まるとの見方が出ている。

中国メディアが8月5日に報じたところによると、世界的な投資ファンド大手KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)は、中国で保有する商業用不動産9件の売却を進めている。

KKRはレバレッジド・バイアウトで知られ、プライベートエクイティやインフラ、不動産、プライベートクレジットなどの事業を手がけている。

売却対象は、北京、上海、広州、成都などにある長期賃貸住宅やホテルの計9物件で、このうち北京市大興区の方隅アパートメントと、上海外灘・豫園のオレンジ・クリスタル・ホテルがすでに売却対象となっている。提示価格はいずれも約9億元という。

報道によると、KKRが想定する売却価格は取得額の約半分にとどまる。北京市大興区の方隅アパートメントは2022年に18.7億元で取得したが、4年後の現在、約9億元で売りに出されている。

同じ時期に、国際的な資産運用会社AEWキャピタル・マネジメントも、北京と上海で保有する主要オフィスビルの売却を進めている。

対象には、北京の泓晟国際センターと京印国際センター、上海の浦発大厦が含まれる。AEWは泓晟国際センターを45億元、浦発大厦を27.52億元で取得したが、現在の売却価格はいずれも取得額の半分近くまで下落しているという。

7月には、投資会社Gaw Capital Partnersが、上海市閔行区の華潤万象城にあるA、B、C、Dの4棟のオフィスビルを売却するとの情報も伝えられた。

同社は2019年1月、華潤資本から4棟を総額28億元で取得した。しかし現在、4棟を一括売却した場合の評価額は15億~18億元にとどまり、取得価格との差額は10億~13億元に上る。

業界関係者によると、海外投資家による中国の不動産投資は、北京と上海の商業用不動産に集中しており、なかでもオフィス物件が大きな割合を占めている。2019年以降、北京と上海の商業用不動産の評価額は40%以上下落した。

2024年末以降、ブラックロックやカーライル・グループなどの資産運用会社も、中国で保有する商業用不動産を相次いで売却している。売却価格はいずれも取得価格を大幅に下回る水準だった。

海外投資家が中国の保有物件を手放す一方、中国ではオフィスの供給面積と空室率が上昇を続けている。特に北京、上海、広州、深センの一線都市で、この傾向が顕著となっている。

不動産サービス大手JLL(ジョーンズ・ラング・ラサール)が発表した2026年上半期の中国グレードAオフィス市場に関する報告によると、上半期に一線都市で新たに供給されたオフィスの延べ床面積は80.2万平方メートルに達した。

2026年下半期には、一線都市でさらに303.6万平方メートルの新規供給が見込まれている。

第2四半期末時点のグレードAオフィスの空室率は、深センが24.9%、上海が23.5%、広州が22.6%だった。北京は14.7%となっている。

JLLは、2026年下半期に北京で約70万平方メートルのオフィスが新たに供給される見通しで、周辺地域の空室率をさらに押し上げる可能性があると指摘した。

台湾の財信メディアグループ会長、謝金河氏はフェイスブックへの投稿で、KKRの動きが注目されている理由について、保有物件を市場価格の50~60%程度で売却しようとしているためだと説明した。

謝氏は、すべての物件を売却しても、KKRは銀行からの借入金を返済しきれない可能性があると指摘した。そのうえで、今回の売却は、損失を覚悟した撤退であり、低迷する中国の不動産市場に、さらに一撃を加えるようなものだとの見方を示した。

また、海外投資家が中国の商業用不動産を手放す動きは、中国経済の先行きを厳しく見ていることの表れだと指摘した。

さらに、KKRとPAGが日本の商業用不動産や酒類事業に4700億円を投じていることにも言及し、今回のKKRの動きは、投資資金の流れが変化していることを示しているとの見方を示した。

ブルームバーグは、巨額の損失を受け入れて中国の不動産を売却する海外投資家が増えていると報じている。

海外投資家の間では、中国の不動産を保有し続けても投資額の回収は難しいとの認識が広がっている。この傾向が続けば、中国経済への圧力が一段と強まる可能性がある。

任義