トランプ米大統領の1期目政権以降、米中の経済・貿易をめぐる対立が続き、アメリカ企業を含む多くの外資系企業が中国市場から撤退したり、事業縮小を検討したりする動きが広がっている。米IT大手マイクロソフトも例外ではない。分析によると、同社は現在、4つの分野で中国事業の縮小を進めている。
それから5年、マイクロソフトと中国との関係はさらに複雑になっている。ロイターによると、企業の届出資料から、同社は過去5年間に中国で少なくとも15の支社や合弁企業を閉鎖したことが分かった。
かつてマイクロソフトにとって「中国からの撤退」は考えられない選択肢だった。しかし現在、同社は中国での事業規模を徐々に縮小し、どの事業を維持できるのかを見極める段階に入っている。
5年にわたり中国事業を段階的に縮小
8月13日、ロイターは関係者の話として、マイクロソフトが中国市場から「段階的に撤退」していると報じた。情報筋によると、同社は2023年に中国からの完全撤退を検討した。当時、一部の幹部は、中国事業で抱える地政学的リスクが、得られる経済的利益に見合わないと考えていた。
一方、マイクロソフトの広報担当者はロイターに対し、「現時点で撤退する計画はない」と述べた。
米金融情報サイト「24/7 Wall St.」は、マイクロソフトが過去5年間、4つの分野で中国事業を縮小してきたと分析している。縮小の理由は分野ごとに異なる。
第1は、支社や合弁企業の閉鎖だ。企業の届出資料によると、少なくとも15の支社や合弁企業が閉鎖された。
マイクロソフトが2002年に中国で設立した初の合弁企業Wicresoftは、2025年4月から中国事業を縮小し、約2千人分の雇用を削減した。同社も、この15社に含まれるとみられる。
第2は製造部門。マイクロソフトは、SurfaceやXboxのハードウェア生産の大部分と、データセンター向けサーバーの製造を中国国外へ移している。サーバー関連資材の少なくとも80%を中国以外から調達することを目標としている。
第3は小売部門である。同社は2024年、中国本土にあるすべての認定実店舗を閉鎖し、オンライン販売と外部の販売パートナーを通じた事業モデルに切り替えた。
第4は人員削減だ。2026年6月前後には、中国のAzureクラウド事業で約200〜400人を対象に人員削減を行った。これは2年間で3回目となる。対象となった従業員は2026年7月6日前後に退職し、最大で月給7か月分に相当する退職金を受け取った。
米中関係の悪化が中国事業を圧迫
マイクロソフトの中国事業が直面する圧力の背景には、構造的な要因がある。
2017年以降、中共当局は国有部門に国産ソフトウェアの調達を促してきた。ロイターが2023年12月から2026年5月までに公表された6つの中共政府調達ガイドラインを調べたところ、そのうち5つでマイクロソフトが推奨リストに含まれていなかった。
DGAアルブライト・ストーンブリッジ・グループのポール・トリオロ氏はロイターに対し、推奨リストから外れることについて、「製品が禁止されたという意味ではないが、こうしたサービスを利用しようとするIT担当者には、より厳しい審査が課される。追加のセキュリティーチェックや承認手続きも必要になる」と説明した。
さらに、アメリカによる先端半導体の輸出規制、米司法省が2025年に開始したデータセキュリティー計画に加え、中国のKingsoftなどの企業や、AIモデル「Kimi」との競争も激しくなっており、マイクロソフトを取り巻く環境は一段と厳しくなっている。
2024年時点で、中国市場がマイクロソフトの世界全体の売上高に占める割合は、わずか1.5%だった。
なぜ中国から完全撤退しないのか
ロイターが3人の関係者から得た情報によると、マイクロソフトが最終的に中国に残ることを決めた理由の一つは、海外展開に西側の技術を必要とする中国企業向けの事業が、収益を上げているためだ。
バイトダンスやSHEINは、海外の規制に対応するため、Azureを使ってデータを管理している。
また、このうち2人の関係者によると、マイクロソフトは中国で事業を維持することが、現地の優秀な技術人材を確保する上でも重要だと考えている。
同社は中国での研究事業を閉鎖することも検討したが、最終的には一部のトップ研究者を他国の拠点へ移すことを決めたという。
米国がAI関連の輸出規制を強化して以降、マイクロソフト中国研究院(現在のマイクロソフト・リサーチ・アジア)は、バンクーバー、シンガポール、東京に研究拠点を設けている。
マイクロソフトの動きは、米テクノロジー企業が中国で事業を続ける余地が狭まりつつある現状を映している。中国で大規模な事業を展開するほかの米テクノロジー大手も、中国事業への依存やリスクを見直している。
Appleは2026年末までに、アメリカ市場向けiPhoneの大部分をインド生産に切り替える計画だ。また先月には、テスラが中国事業の分離を検討しているとの報道も出たが、イーロン・マスク氏はこれを否定した。
在中国米国商工会議所の最新調査では、回答者の52%が、中国を世界の投資先の中でも最重要市場と位置付けている。2019年には、この割合は62%だった。
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