「買うより借りる」中国の若者に広がるレンタル消費 内需刺激に新たな課題

2026/08/21
更新: 2026/08/21

中国共産党(中共)当局が消費刺激策を続ける一方、中国の若者の間では、商品を購入せず必要な期間だけ借りる「買わずに借りる」消費が広がっている。カメラやドローン、ブランドバッグ、アウトドア用品などの短期レンタル需要が伸びる一方、今年7月の社会消費財小売売上高は前年同月比0.6%増にとどまった。

ウォール・ストリート・ジャーナルが8月20日に報じたところによると、今年春、大学生の王さんは、太原を3日間旅行した際、DJIの小型カメラ「Osmo Pocket 3」を65元でレンタルした。購入すれば3千元以上かかる。

こうした「買わずに借りる」消費は、カメラやドローン、パソコンにとどまらず、スキー用品、キャンプ用品、ブランドバッグ、ウエディングドレス、玩具などにも広がっている。

青島の写真家によると、ドローンは1日約40元、一眼レフカメラは約50元で借りられ、機材一式でも1日100元未満で済む。一方、購入すれば数万元かかるという。

「北京日報」は以前、28歳の麦さんがDJIのアクションカメラを10日間、約200元でレンタルした事例を紹介した。実際に使ってみると、使う機会がそれほど多くないと分かり、数千元も出して購入するのを急がなくなったという。

若者の約8割が「買わずに借りる」を経験

中共の国家市場監督管理総局とアント・グループが2025年8月に発表した白書によると、2024年の中国のレンタル経済の取引規模は4.2兆元を超え、前年比32%増加した。延べ利用者が7.5億人を超えた。

中国の生活サービスプラットフォーム「美団」のデータでは、2026年のカメラレンタルの検索数は前年比67%増加し、ドローンレンタルは10倍以上に伸びた。検索の約7割を20~35歳が占めている。

「中国青年報」が今年2月、1334人の若者を対象に行った調査では、77.3%が「買わずに借りる」消費を経験していた。2000年代生まれでは82.2%に達した。レンタル品目ではデジタル機器が最も多く、アウトドア用品が続いた。

また、回答者の54.1%は、一部の商品について使用頻度が低いため「買うよりレンタルする方がよい」と答えた。

中国社会科学院社会学研究所の朱迪研究員は、若者の消費行動が「買えなければ諦める」、あるいは借金をして購入する形から、自分の購買力に応じて値段交渉やシェア、レンタルを利用し、必要なものを手に入れる形へと変化していると指摘した。

小売売上高の伸びは0.6%に低下

中共は今年も、消費財の買い替え支援や個人向け消費ローンの利子補助を通じて支出を促している。

ロイターは2025年12月、当局が2026年の消費財買い替え支援策の第1弾として625億元を拠出し、自動車や家電、一部のデジタル製品を対象とすると報じた。今年1月には、個人向け消費ローンの利子補助制度を年末まで延長したとも伝えている。

中共国家統計局によると、7月の社会消費財小売売上高は前年同月比0.6%増にとどまり、6月の1%増を下回った。今年1~7月は前年同期比1.2%増だった。当局の別の統計では、1~7月の商品小売額は1.1%増、サービス小売額は5.0%増となった。

ウォール・ストリート・ジャーナルは、購入前のお試しとしてレンタルを利用する消費者がいる一方、実際に試した結果、購入を見送る人もいると分析した。若者が購入よりレンタルを選ぶ傾向が強まれば、関連商品の売れ行きを鈍らせ、中共が進める内需拡大策にとって新たな課題となり得る。

世界銀行が7月に発表した中国経済に関する報告書は、住宅需要の低迷や住宅価格の下落による資産価値の低下、雇用市場の弱さを背景に、中国の家計が支出に慎重な姿勢を続けていると指摘した。消費は引き続き低調に推移する見通しで、消費主導の成長への転換も緩やかなペースにとどまるとしている。