小麦価格は8月に19%の上昇を記録した。
アメリカでは職場や学校へ持参するランチとしてサンドイッチは定番だが、小麦価格が約4年ぶり(2022年12月以来)の高値圏にあるため、家計の負担が増す可能性がある。
シカゴ商品取引所(CBOT)における小麦先物(期近物)は、8月31日に0.08ドル(1.12%)下落し、1ブッシェル(約 35.24 リットル)あたり7.75ドルとなった。
しかし、この農産物は8月に19%の上昇を記録し、年初来の上昇率は53%に達している。
継続するロシア・ウクライナ戦争とエルニーニョへの懸念が、2026年における小麦高騰を促す2大要因となっている。
モスクワとキーウは今夏に攻撃を激化させ、双方が黒海にある互いの穀物ターミナルを標的にした。
ロシアは世界最大の小麦輸出国であり、ウクライナも有数の穀物生産国であるため、この紛争は世界の穀物供給を混乱させている。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、穀物輸出の再開を促進するためにロシア当局者との会談を提案した。ロシア側はまだこの提案を受け入れていない。
サクソバンクの商品戦略責任者オレ・ハンセン氏によると、ロシアの8月の穀物輸出量は200万トン近くまで減少する見通しである。
これは、同国の5年平均である約570万トンを大幅に下回る水準であり、例年のわずか35%程度、約65%減となる。
「黒海の港湾封鎖とドナウ川ルートの混雑が輸出を制限し、農家の資金繰りを圧迫している。これが作付けや来年の生産に影響を与える可能性があるため、ウクライナはより長期的な供給リスクに直面している」とハンセン氏は8月26日付のリサーチノートで述べている。
エルニーニョへの注目
今年後半から2027年にかけて、市場関係者と世界の農業部門はエルニーニョの影響を見極めることになる。
太平洋の海水温を上昇させ、世界的な気象パターンを変化させるエルニーニョ現象は、観測史上最大級のものになると予想されている。
米気候予測センターは、今シーズンのエルニーニョが過去の事例を上回る規模になる確率を69%と予測している。
JPモルガン・チェースの気候アドバイザリー部門グローバルヘッドであるサラ・キャプニック博士は、これが世界の食料供給に深刻な影響を与える可能性があると指摘する。
エルニーニョ発生期には、通常、農業生産高が2〜4%減少する。
一方、ホルムズ海峡の封鎖につながったイランでの戦争により、世界経済は肥料供給の逼迫にも直面している。
この狭い航路は石油・ガス供給の20%を担っているが、肥料や医薬品を含む幅広い資本財・消費財にとっても重要なルートである。
「発生しつつあるエルニーニョは、季節的な気候・天候ストレスをさらに悪化させ、降雨パターンや気温パターンを変化させて極端な気象をもたらす恐れがある」とキャプニック博士は5月の調査レポートで述べている。
「同時に肥料供給も逼迫しており、生産高の減少とさらなる食品インフレ圧力のリスクを高めている」
これらを総合すると、来年の世界的な食品インフレ率は5%に達する可能性がある。
一方、新技術によって近年のエルニーニョによる農業生産への悪影響が以前より抑えられているとして、懸念をそこまで強めていない市場関係者もいる。
種子技術、衛星、灌漑設備の普及拡大によって、天候パターンの悪影響を緩和できるという見方だ。
「エルニーニョ期間中における主要作物の世界的な農業生産の変化を見ても、作物の不足を示すような状況にはない」とオランダのING銀行のアグリカルチャー・ストラテジストは7月20日付のリサーチノートで指摘している。
「とはいえ、パーム油やサトウキビといった一部の多年生作物に対する影響は、翌年以降により顕著に現れる可能性がある」
プライス・フューチャーズ・グループの市場アナリスト、ジャック・スコヴィル氏によれば、アメリカ国内の小麦生産環境は強弱入り混じる状態である。
冬小麦の収穫はほぼ完了し、春小麦は収穫中で「良〜優」の割合は51%と評価されているという。
「米中西部では強弱入り混じる状況だが、欧州は気温が高すぎる状態が続いている。中西部の一部では8月半ばの猛暑の後、適度な気温とともに散発的な降雨が見られるようになっている。グレートプレーンズ(大平原)は引き続き高温乾燥が続くだろう」とスコヴィル氏は8月31日付のリサーチノートで述べている。
アキュウェザー(AccuWeather:アメリカ・ペンシルベニア州に本社を置く、世界最大級の民間気象情報サービス企業)がエポックタイムズに共有した最新の見通しは、エルニーニョの長引く影響がアメリカの主要な栽培地域で今後2〜3年にわたって続く可能性があると警告している。
テキサス州からダコタ諸州にかけてはすでに極度の干ばつが発生しており、エルニーニョが強力であるほど、気象パターンが正常化するまでに時間がかかることになる。
また、アキュウェザーの創業者兼会長であるジョエル・マイヤーズ博士は、「ミニ・ダストボウル」への懸念も高まっていると指摘する。
ダストボウルとは、深刻な干ばつで作物が干上がり、風によって表土が巻き上げられて砂嵐となる現象であり、食料生産に打撃を与える。
「すでに深刻な干ばつに見舞われている現状に加え、長期的な干ばつが最悪の展開をたどれば、『ミニ・ダストボウル』が現実味を帯びてくる」とマイヤーズ博士は述べている。
「大豆は今後数カ月、数年にわたってさらなる負荷に直面し、国内の一部の地域ではこれらの作物の収量が減少するだろう。そうなれば食料生産に悪影響を及ぼし、物価上昇につながる。さらに、水資源の供給にも被害が出るだろう」
大豆価格も今年に入って堅調に上昇しており、23%急騰して1ブッシェルあたり12.88ドルとなっている。
トウモロコシも年初来で22%上昇し、1ブッシェルあたりほぼ5.38ドルに達している。
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