2007年アジア経済展望 リスク潜む中国経済成長

2007/01/02
更新: 2007/01/02

【大紀元日本1月1日】2006年、日本経済景気の回復とはじめ、インド、ベトナム、中国などのアジア各国はそれぞれ著しい景気拡大を遂げた。2007年、アジア経済成長が引き続き加速していくのか?

リスクが潜む中国経済

アジア経済・金融に詳しいブルームバーグ・インターナショナルのウィリアム・ぺセク・ジュニア(William Pesek.Jr)氏は、先月発表した文章の中で、アジア経済成長に非常に重要な役割を持つ中国経済は2007年に引き続き成長を拡大していくために、まず国内における雇用機会を大いに増加しなければならないと指摘した。また、ペセク氏は、一部地域での景気過熱を抑制するには、中国政府は経済成長をある程度に減速させる必要があるが、2006年に政府はこのよう経済政策を実行しなかったため、2007年は非常に注目すべき年となると話した。

ぺセク氏は来年、中国経済が高成長できるかどうかを判断するのに非常に難しいと示した。彼は、「中国は他の国と違って、流動性のある債券市場がないだけではなく、政府当局にはまとまった国家財政政策を欠けている。これはまるで猛スピードで走っているブレーキあるいはハンドルのない自動車のように、非常に危険だ」と言った。また、ペセク氏は「日々深刻となっていく環境汚染や高まる農村部における社会的不満も中国経済成長にとって大きなリスクとなっていくだろう。中国13億人口のうち約半分の人が丸一日働かなければ、一杯のスターパックスのコーヒーを買うことすらできないのは中国の現状だ」と指摘した。

また、中国の為替政策に関して、ペセク氏は「将来一年において、極めて大きな調整が見られないが、中国人民元は(欧米諸国からの)更なる切り上げ圧力を受けるに違いない」と示した。2007年為替問題以外に、各国からの圧力を受け、中国当局はやむを得ず金融市場を開放し、知的財産権侵害問題を比較的に厳しく対処する政策を採っていくだろう。

同氏はレポートの中でさらに、中国当局がウィキペディア(Wikipedia)などの大手ネット検索サイトに対して情報閉鎖・規制政策を実行しているのは、中国の優秀な人材に世界政治経済情勢の変化を知るのを阻み、結果的に将来中国経済発展にマイナスの影響を与える」と示した。 

北京街角の広告看板(GOH CHAI HIN/AFP/Getty Images 2006-10-18)

2007年アジア経済における5つのキーワード

ペセク氏は、2007年アジア経済の先行きを予測するには、①米国経済成長の減速②インフレ③日本経済景気の回復④環境汚染⑤地政学リスクの5つのキーワードがあるとした。

①米国経済成長の減速
中国を含む多くのアジア諸国の経済は輸出に依存している。そのため、米国経済成長の減速により、米国人の消費需要が減り、アジア各国の輸出を大幅に低下する可能性がある。

②インフレリスク
2006年にインフレリスクを強く警戒した米国連邦準備理事会(FRB、中央銀行)、欧州中央銀行(ECB)及びユーロ圏諸国中銀は相次いでそれぞれの政策金利を切り上げた。2006年において、米FRBは4回、合わせて100ポイントを切り上げ、金利水準を5.25%にした。欧州中銀は6回、2006年始めの2.25%から同年12月の3.50%に125ポイント切り上げた。 一方、アジア各国の中銀は2006年において主に国内景気拡大の促進や通貨上昇の防止を努め、金利の切り上げ政策を極力避けてきた。極端なインフレ上昇が現れる場合を除き 、2007年欧米諸国中銀が追加利上げを踏み切る可能性が低いと考えられる。しかし、2007年アジア諸国経済においてインフレ上昇の恐れがあると予測される。原因のひとつは原油価格の再高騰だ。石油輸出国機構(OPEC)は2006年12月14日に開催された総会では、2007年2月1日から原油生産量(イラクを除く10カ国)を日量50万バレル削減し、2580万バレルとすると決定した。これは、景気拡大に伴い国内需要が高まっているアジア諸国経済に大きな影響を与え、原油価格の高騰により結果的に生産コスト、物価などが上昇する可能性が高いと見られる。 

③予想より緩やかな日本経済景気回復
2006年日本の景気拡大のペースが予想より緩やかだ。特に、2006年後半期から国内個人消費や企業の設備投資の伸び鈍化が目立ち、このため、年末に内閣府が発表した第3四半期実質国内総生産(GDP)改定値は当初の速報値より大幅に下方修正された。前期比で0.8%増、年率換算で3.1%増と景気拡大の好調を見せた第1四半期実質GDP伸び率から、第2、3四半期は前期比でそれぞれ0.2%、年率換算でそれぞれ1.0%と0.8%に下落した。2007年、日本経済の先行きやそれによりアジア経済への影響を判断するには、個人消費や設備投資など日本国内需要の動きを注目すべきであろう。

④環境汚染
2007年アジア諸国の経済景気拡大を阻止するもうひとつの要因は環境汚染だ。中国の汚染された河から、インドネシアで発生した大規模な森林火災まで、アジア諸国の多くの地域では自然環境破壊が限界に達した。即効的な政策がなければ、2007年には環境汚染がさらに拡大するとされる。このため、環境汚染でもたらされる経済損失も上昇するだろう。

⑤地政学リスク
近年、アジア金融市場に大きな衝撃を与えたのはそれぞれ国のGDP報告、あるいはインフレ報告ではなかった。政治スキャンダル、テロ事件、核実験、クーデターなど政治、外交上の問題が金融市場を大きく揺らがした。2006年に引き続き、2007年に世界各国は北朝鮮の核問題、中国と台湾の問題などに注目するだろう。また、2007年に韓国では大統領選が行われるため、新大統領が選出される場合、対北朝鮮「太陽政策」に関して変更があるかどうかも注目の的となるに違いない。 

ソウルの街角(AFP/Getty Images)

ビジネスウィーク:2007年アジア金融市場は引き続き堅調、投資リスクは上昇

ビジネスウィークは12月14日の報道によると、世界格付け大手のS&P社(Standard & Poor’s)の報告に基づき、2007年アジア金融市場は引き続き堅調を保持する一方、投資リスクが上昇するという。

2006年後半から、アジア各国株式市場の株価は近年でも稀な好業績を見せた。2007年も好調と予想されているが、流動性の低下により下落する可能性がある。2007年、輸入コスト、労働人件コストの上昇及びインフレによる金利切り上げ政策により、企業収益の伸びは鈍化するとの見通し。

海外投資家は2007年の韓国と台湾の株式市場における更なる好調を予想している。インドの株式市場は2006年に過大評価されたため、2007年に株価の下落リスクが高まる可能性が高い。日本株式市場については、2007年日本銀行(中央銀行)は現在0・25%水準にある政策金利を更に切り上げるとすでに市場は織り込み済ため、2007年株価はピークに達してから、少しずつ下落するとされ

台湾証券市場 (PATRICK LIN/AFP/Getty Images 2006-7-17)

る。

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