中国製冷凍食品の農薬混入問題について

2008/02/09
更新: 2008/02/09

【大紀元日本2月9日】このところ中国産冷凍食品中毒の問題が大きくクローズアップされている。中国の現状から見るとこの種の問題が遅かれ早かれ話題になるのは必至ではあったが、ここまで問題が大きくなると別の問題までが議論されるようになる。テレビ、新聞はもとより週刊誌まで競うように大きく取り上げている。筆者は庶民に属し古希を過ぎるまで碌々八百屋やスーパーマーケットの食材売り場に出入りしたことのない典型的日本人男性であり、食材の鮮度や品質については勿論、農薬についての含蓄等は皆無の世代ではあるが、敢えて一言発言してみたい。

日本人の食卓に季節の旬という概念が薄れて既に久しい。正直なところ夏野菜と思っていたものが冬の食膳に出てくるのに驚いたのはそう昔のことでもないが、仄聞するところグリーンピースがほとんどニュージーランド産だとか、枝豆が中国産だと聞かされ、驚いたのは大分昔のことである。若い頃、文革直後の香港に赴任し中国料理に親しんだ結果、今も飲茶や鉄観音が大好きである。当時の香港はアマを雇うのが常識とされた時代であり、人並に初老の中国女性に来て貰ったところ人柄もよく、子育ての最中でもあり大いに助かったが、サラダを食べたいというと律儀なアマさんが真顔で大反対し、仕方なく家内が作ったところアマさんがそれを炒めてしまい口論になったことがある。要は野菜を生で食するのは肥料の関係で非常識というものであった。アマさんからジョークで飛ぶものはロシヤの飛行機以外、四足なら机椅子以外何でも食べる事が出来るが全て火をとおさねばならぬと懇々と聞かされ、そういうものかと納得したものである。流石にアマさんも果物だけは生でも食べていたが。

当時は、アマさんが言うとおり中国では人糞が肥料の太宗だと理解したものの、その後、無数の化学肥料や殺虫剤が普及し、農民は、その毒性についての正確な知識もないままに大量に使用しているのであろう。決して悪意があるとは思えないが狭小な土地で生産性を上げるため具体的には少しでも高値で売る為には安価で強力な殺虫剤の大量使用にもなんら躊躇しないのが真相であろう。その一方で中国では野菜が洗える洗濯機だとか、野菜を洗う洗剤が結構普及しているというのも、その辺の事情を反映したものであろう。有機燐系の殺虫剤が禁止されたのも、禁止された後でも簡単に入手出来るというのも紛れもない事実であろうし、その建前と実態の乖離は日本人の想像以上なのであろう。日系企業が指導して厳しい条件を付したところで、密かに安価で強力な殺虫剤が使用されることもあろうし、競合企業や解職された従業員によるサボタージュや犯罪の可能性も排除出来ない場合もあろう。大紀元の特集を見ても野菜、果物、食肉に至るまで多種多様な有害化学物質が使用されているのは事実であろうし、そもそも毒菜とか地溝油なる言葉もそういう事情を反映しているのであろう。日本でもカネミオイル事件やイタイイタイ病等の話はそう昔のことではない。

ともあれ、今回中国当局が従来とは異なり直ぐ反応したのはオリンピックを控えていることも影響しているのであろうが、それ自体は悪いことではなかろう。現段階で中国、日本何れに原因があるのか判然としないが、結果として中国当局が面子に拘り原因は藪の中の出来事になるのも十分考えられるが、幸い人命が損なわれず警鐘を鳴らしたことになるのであれば不幸中の幸いとして、それなりに評価すべきではなかろうか。何れにしても野菜を洗う洗濯機だとか、地溝油を避けるため客が食用油をレストランに持参するという話が巷間に流布される事態は早急に改善して貰いたいものである。何れにせよ、この種の問題の根底にあるのは宗教を禁じ唯物論に傾斜し急速な資本主義化の結果、古来の倫理感が破綻し何でも有りになってしまった中国の世情であろう。その昔、聖人達が総統し自他共に許した富厚な大地を重金属や公害の垂れ流しで汚染し人心の荒廃を招いた中国当局の猛省と早急な事態改善を期待したいものである。

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