四川大地震:中国人記者、報道されない被災地の現状を明かす

2008/05/17
更新: 2008/05/17

【大紀元日本5月17日】中国の某新聞記者が四川大地震の被災地で現地取材した報道が、当局の報道指針に沿わないため、当局の検閲を受け報道されることはなかった。これに憤慨した当該の記者が匿名で海外の中国情報サイト「博訊ネット」に投稿、被災地の救援活動や、海外の救援隊の受け入れ、中国当局によるメディアの報道規制などについて、裏を語った。

この投稿の一部内容は次の通り。

メディアの報道規制

北京の本部に送った2つの現地取材は責任編集者に没にされた。あれは、2人の記者が被災地の最前線で20時間以上取材し、被災者の血と涙が滲む末の記事である、私の怒りは抑えられない。

目の前で、この天災が徐々に人災となり、被災者の悲しみは怒りに変わりつつある。

マスコミは、政府から「国民の士気と愛国心を高揚させる報道を中心に」と要求されている。メディア宣伝は、救援活動よりも猛烈に中国全土で繰り広げられている。各メディアは毎日、「わが政府は、すべての代価を惜しまず全力を挙げて、現地に救援部隊を増援させている」と報じ、「首相がパンと漬物しか食べていない」とのような文言に、子供の救出に成功した感動のシーンが中心になっている。あえて報道の前進といえば、一部のマイナス的な情報の報道も出されていることである。インターネットによる情報伝達に加え、現地の状況があまりにも深刻であるため、情報の封鎖が現実に不可能になっているからである。

数日前に、各大手新聞は、一人の武装警官が土下座して、もう一度、自分に子供を救出する機会を与えてほしい、との報道を出した。しかし、我々が被災現場で毎日目の当たりにしているのは、多くの親や、親族が救援者に土下座し、身内の救出を頼んでいるのが現実だ。もちろん、このようなシーンは中国政府のメディア報道で見ることはできない。

遅れている現場救援活動 

最悪なのは、被災地に派遣された解放軍の兵士は確かに勇敢で若いが、彼らは必要な装備ない上に、適切な訓練をも受けていなかった。現場では、救出活動の進行が非常に遅れており、どうすればいいのかわからず家屋の倒壊現場で呆然としている兵士の姿をよくみかける。

被災者は今徐々に悲しみから怒りに変わっている。政府はメディアに、被災者が激高する場面をできるだけ報道しないよう通達した。一方、メディアの報道を介して現地の状況を知る国民は、政府の災害対応能力の低さにより、天災が人災に変わりつつことを知る術もなく、政府に感謝感激の情緒が溢れ出している。

欧米の救援隊を受け入れない理由

現時点までに、韓国とロシア、日本の救援隊しか受け入れず、米国などの欧米諸国の人的救援を断っている。私が把握した内部情報によれば、それに以下の2つの理由があった。

①最高指導部の「外国の陰謀論」を堅持する左派の高官の間では、この時期に外国の技術支援を受け入れるのは、国家の安全に不利である上、国際社会に中国の弱みを見せ、面子を損なってしまう、との持論が根強い。

②政権内部では、「欧米諸国の救援隊を受け入れれば、後に、被災地の詳細状況が暴露され、中国の救援活動の技術的遅れや、現場指揮の効率の悪さなどが指摘される可能性が高い」との説が根強い。内部情報によれば、温家宝・首相を中心とする穏健派は最初から、外国救援隊の受け入れを強く支持しているが、2度にわたり否決された。後に、対立する胡錦濤・総書記が譲歩し、日本の救援隊を受け入れることになった。日本訪問を終えたばかりで、両国間ではまだ友好ムードがあり、日本人も非常に紀律を守るためという。

中国国内では、政府が外国救援隊の受け入れに消極的である、との情報がインターネットで流れ、それを知った被災者とその親族からは、怒りの声が上がっている。

いま、政府はメディアに、外国救援隊の活動を慎重に報道し、あまりその実績を強調しないように、との内部通達を出している。

ここ2日間、私は多くの幼い命を呑み込んだ校舎の廃墟を前に、思いついたことは、もし、あなたは不幸にも中国人の子供として生まれたら、不運にも被災地の子供にならないことを祈ったほうがいいということだ。

被災地の現状

(翻訳・編集/叶子)

関連特集: 国際