チャイナ・セブンの1人の王滬寧氏が約1カ月間、公の場に現れていない(WANG ZHAO/AFP/Getty Images)

中国共産党序列5位の王滬寧氏 1カ月姿を見せず、プロパガンダの失敗と関係か

王氏は、江政権で「三つの代表」、胡政権で「科学的発展観」と習政権で「習思想」を構築した。異例にも、3人の最高指導者に重用されたことは、王氏のゴーストライターとしての能力の高さ、その党内情勢を見てすぐ対応を決めるずる賢さと大きく関係するだろう。

昨年の党大会でチャイナ・セブン入りを果たした王氏は、プロパガンダのほか、党中央政策研究室主任、党中央全面深化改革領導小組秘書長などの要職を兼任。習近平氏の外国訪問にも常に同行していた。

習氏が王滬寧氏に信頼を寄せたのは、王氏の提唱した政治理論に、習氏が共鳴したからだとみられる。公開されている『王滬寧日記五則』において、王氏がかつて、「社会現代化の過程は、法制化の過程にほかならない。法治がなければ、現代化と言えない」「反腐敗の重点の1つは、反『超腐敗』である。次官レベル以上の幹部の腐敗行為は、反腐敗の重点だ」と唱えた。

一方、習近平政権が2012年に始まってから、反腐敗キャンペーンを展開し、「依法治国(法により国を治める)」と強調してきた。また、2016年3月、習氏は、民主制度および政府改革に関する討論会の開催を王滬寧氏に任せた。この会議では、王氏が指導部内部の対立や、憲政実施をめぐる課題について言及。習氏の王氏に対する信頼を浮き彫りにした。

ただし、昨年党大会以降、中国共産党政権は「習核心」を大々的に宣伝したと同時に、「初心を忘れてはいけない」として、マルクス・レーニン主義に関するプロパガンダを強化するなど、党大会前の宣伝方針と全く変わった。王氏の指示かどうかは定かではない。

この変化によって、中国当局が、改革を大きく推進する機会を逃したのは事実だ。現在、中国国内では、深刻な社会問題、元軍人・元投資家などによる大規模な抗議デモ、金融危機などさまざまな社会不安が起きている。これらはすべて、共産党政権の終焉(しゅうえん)を示唆している。

一方、王滬寧氏をめぐって「自宅軟禁」説、あるいは「失脚」説が広がっていることから、中国最高指導部は、王氏のプロパガンダ政策を見直ししようとしているのが分かる。もし、王氏が意図的に、江派閥と共謀して、わざと「高級黒」政策を出したなら、問題は深刻であろう。

しかし、長年において中国指導部の権力闘争を目にしてきた王滬寧氏は、非常に慎重で計算高いため、ひそかに江派と内通する可能性は低いと思われる。これは、2014年王氏が自ら起草した「三つの代表」を否定したことから見て取れる。

香港誌「争鳴」同年8月の報道によると、当時反腐敗運動の指揮者である王岐山・前中央規律検査委員会書記の前で、王滬寧氏は、部下や親族らの汚職・不正蓄財を放任したなどと自己批判したほか、江沢民のために編み出した「三つの代表」について、「本心からではない」と述べた。

王氏は、国際情勢および国内政治情勢について判断を誤った可能性が高い。王氏が、習国家主席を「強国の指導者」に作り上げようとしたことが失敗だったかもしれない。

中国最高指導部は今後、プロパガンダの面において、習陣営に対して陰謀があったかどうかを精査して、王滬寧氏の去就を決めるであろう。

(大紀元コメンテーター・周暁輝、翻訳編集・張哲)