ケニアと中国、労働者たちの冷たい関係 ケニア鉄道開通1年

2018/10/10
更新: 2018/10/10

中国のアフリカ投資が著しい。ケニアの多くの公共施設は機能不全で、老朽化したものが多い中、近年開通した中国資本の鉄道SGRの駅は、際立っている。巨額投資に両国間の蜜月関係がうかがえる一方で、労働者の間では積極的な交流はなされていない模様だ。

ナイロビ駅は、幾何学模様の抽象モダンな造りだ。赤いネオンが「ナイロビ」の文字を形作る。モンバサ駅は曲線をせり出した出入口で、こちらも現代的なデザインで目を引く。以前の、1世紀以上前に建設されたレンガ造りの鉄道駅とは比べると、様変わりした。

旧線のナイロビ駅(shankar s)
中国資本のケニア鉄道(SGR)モンバサ駅(Kenya Railways)

スタンダード・ゲージ鉄道(SGR)は、ケニア首都ナイロビからインド洋の戦略主要港のあるモンバサまで470キロを結ぶ。2017年夏に開通したこの大型インフラは、54年前の同国独立以来最大規模だ。中国から32億ドルの融資を受けて中国企業が建設した。SGRは中国主体で長年、運営されるとみられる。

9月24日は、SGR支線のためのトンネルが開通した。ナイロビとナイバシャを結ぶ。トンネル上部には、請け負った中国企業の看板が掲示された。

過去10年間、中国はケニアを含むアフリカ各国にとって最大の融資国となった。港湾、道路、橋梁(きょうりょう)、空港、鉄道の建設といった国の基幹インフラ建設のために次々と融資を重ねた。

アフリカには続々と中国人が入域し、南アフリカやアンゴラにはそれぞれ20万人以上が暮らし、アフリカ全体では100万人を超えたという。しかし、現地弁護士のフェイス・キドラ氏はネットメディアNPRに対して、ケニア人と中国人との相互交流は積極姿勢ではないと語った。

「ケニア人は中国文化に興味はない。彼らは技術をもたらすためにここにきたのであり、彼らもまた自らの文化を持ってきている」

冷たい関係

ナイロビ駅外で。中央は、握手を交わすケニヤッタ大統領と習近平主席。右には一帯一路の大型広告(Kenya Railways)

7月、現地紙スタンダードによると、鉄道建設の中国人管理者がケニア人に暴力的な罰を与えたと報じた。「中国人は小さな王国を作ろうとしている。ケニア人の労働者たちは、中国人の新植民地主義による露骨な人種差別があると主張している」と同紙は伝えた。

同紙によると、プロジェクトの監督・管理職はほとんど中国人が就いている。また、鉄道を操縦するのは中国人で、2017年夏の開通式の日以外ケニア人は操縦席についていないという。

現地マーケティング専門家ポール・ギチャンゴ氏はNPRに対して、「ケニア人は休憩を取ったりおしゃべりしたりするのが好きだが、中国人はそうではない」と、中国人の長時間労働をいとわない姿勢に学ぶところはあると指摘した。

SGRがケニア国立公園の敷地内を貫通することから、計画段階だった数年前から支線が建設されている最近まで、保守系や環境団体が継続的な反対デモを行っている。

NPRによると、あるケニア人労働者は鉄道が開通したのは1年前だが、ほとんど中国人と話したりしたことはないと述べた。

このケニア人労働者は、中国人はケニア人に対して清掃や石や砂を移動させるなどの単純労働を行うだけといった固定観念を持っていると明かした。

「とても気分が悪い」と彼は吐露した。「中国人は私たちの国にいるが、われわれと関わりを持とうとしない。もっと良い暮らしをするにはどうしたらいいのか、教えて欲しい」。彼は、中国人たちは仕事を持ってきたが、同時に自分たちへの強い自尊心と、ケニア人を服従させようとする思いも運んできたと述べた。

(翻訳編集・佐渡道世)

関連特集: 一帯一路