大紀元時報

不安と懸念、混乱を広げる中国「一帯一路」 停止や見直しは300億ドルに

2018年11月22日 17時24分
2018年10月、中国が14億ドルあまりを投じて拡張建設するスリランカのコロンボ港(ISHARA S. KODIKARA/AFP/Getty Images)
2018年10月、中国が14億ドルあまりを投じて拡張建設するスリランカのコロンボ港(ISHARA S. KODIKARA/AFP/Getty Images)

中国の経済圏構想「一帯一路」と協力関係を結んだ各国では、プロジェクトを見直す動きが活発化している。アジア、中東、アフリカに広がる複数のインフラ計画はこの数週間、関係国政府による停止や再検討が相次ぎ、総計300億ドル(約3兆4000億円)以上が頓挫している。

マレーシアのマハティール首相は8月下旬、一帯一路プロジェクトである、鉄道とガスパイプライン計画を停止した。構想内でも目玉プロジェクトと呼ばれ、その規模は200億ドル(約2兆2600億円)と計算されていた。

パキスタン政府は2017年に140億ドル(約1兆5000億円)のダム建設計画を停止し、最近も中国融資による重い財政負担に懸念を表明した。ネパールは9月、ダム建設計画を停止し、シエラレオネは10月初め、空港建設計画を中止すると発表した。

ベトナムでは国民から、中国の大規模投資による国への影響力拡大に抗議する声が上がっている。これを受け、政府は、複数の中国資本による経済特区の建造計画を延期することを決めた。

米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に答えた、北京大学深セン匯豊商学院の経済学者クリストファー・バルディン氏によると、パキスタン、マレーシア、モルディブなど、いくつかの国における一帯一路関連事業は、選挙や政権交代などにより頓挫した。

「これらの国の人々は、中国融資による膨大な負債のレベルを非常に心配している。重要なことは、国内の一部の反中勢力だけが声を上げているのではなく、国全体に懸念が広がっていることだ」

中国国営新華社通信によると、一帯一路によるインフラ融資は数千億米ドルに及ぶ。

狙われる重要戦略港 イスラエルやイランにも

イスラエル最大港湾のハイファ港(Ariel Jerozolimski/Bloomberg via Getty Images
 

スリランカ政府は2017年末、同国南部ハンバントタ港の99年間の運営権と周囲1万5000エーカーもの地域の管理権を中国に明け渡した。中国融資の返済困難になったスリランカ政府が、このインド洋の重要戦略港の管理権を譲渡したとして「一帯一路」が「債務トラップ外交」だと主要メディアは報道した。

イスラエル最大港湾ハイファ港の一部の運営権は中国上海港を管理する上海国際港務に租借される。イスラエル当局によると、地中海に面するハイファ港に新設された埠頭(ふとう)は上海国際港務が25年契約の運営権を落札した。運用は2021年から始まる。

別の中国企業がイスラエル南部アシュドッドに新たな港の建設を計画している。

イランとパキスタンの国境付近にある、イランのチャバハル港については、中国資本が開発に着手する可能性がある。

しかし、米国が中国に対して重い経済制裁を科しているため、港湾開発の予定は不透明とされる。北京に拠点を置くチャイナ・ポリシーの研究代表デビッド・ケリー氏はVOAの取材に対して「(チャバハルは)イラン中心地から最も離れた場所であり、乾燥地帯だ。多くの石油関連事業を成功させない限り、負債を招くプロジェクトになる」と述べた。

専門家によると、中東は石油マネーがあり、主権を揺るがされるような債務を抱える危険はそれほど高くないという。

中国が最近になって初の海外軍事基地を設立したジブチはスリランカの二の舞になる可能性が高いと言われている。

アフリカ東部のジブチは「アフリカの角」として地政学的な戦略上、重要国となる。ジブチの公式発表によると、国の債務は国内総生産(GDP)の88%以上を占め、中国は14億ドル(約1500億円)を融資している。研究者たちは、このような債務超過状態は、スリランカと同様に、一部の土地や港を中国に譲渡する事態を招きかねないと指摘する。

「債務トラップ」ノーを突きつける声

 

ワシントンDCに本拠を置く世界開発センター(GDC)が2018年初めに発表した報告書によると、中国が一帯一路関連事業で投資する68カ国のうち23カ国は債務超過に陥るリスクを抱える。そのなかでも、ジブチを含む8カ国は、将来の債務不履行が危ぶまれるほど財政は脆弱(ぜいじゃく)だ。

チャイナ・ポリシーのケリー氏は、債務状況がより深刻な事態を引き起こすのは、長期政治による腐敗や貧困に苦しむザンビアのような国々だという。南アフリカのザンビアでは9月大規模な反中デモが起きた。

中国はザンビアの主要な出資国であり、インフラの入札は中国企業が請け負う。空港、道路、工場建設、警察署に至るまで、中国の融資で建設されている。

中国資本による巨大プロジェクトが既に脆弱なザンビア経済をさらに悪化させるのではないかとの懸念が国民の間に広がっている。「中国にノーと言おう(#SayNo2China)」とのスローガンを掲げるデモ参加者は「ザンビア政府は、議会の承認もなしに中国の融資を受けている」と腐敗の深化を指摘した。

ケリー氏は、中国の大型融資により一帯一路関係国では「市民の怒りは国に変化をもたらすだろう」と述べた。

アフリカの中でも中国共産党政権による「中国化」が最も進んでいる国と言われているケニアでも、議会から反発の声があがっている。11月、与党議員は中国による影響力拡大を抑制するため、外国資本による公共事業を契約制限する投資関連法の改正案を提案した。

(翻訳編集・佐渡道世)

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