英国の駐米大使が辞任、トランプ氏酷評の極秘公電流出で

2019/07/11
更新: 2019/07/11

[ロンドン 10日 ロイター] – トランプ米政権を「無能」などと極秘公電で酷評したと報じられた英国のキム・ダロック駐米大使(65)が10日、辞任した。

ダロック大使は書簡で「公電文書が大使館から漏えいして以来、自身の立場、および大使としての在任期間を巡る憶測が飛び交っている。こうした憶測に終止符を打ちたい。現状では自分自身の役割を自分が望むように果たすことは不可能になっている」とした。

ダロック大使の任期は年末までだった。

英紙メール・オン・サンデーは週末、ダロック大使が英政府向けの極秘公電でトランプ政権を「機能不全」で「無能」と評していたと報じた。トランプ大統領は8日、ダロック大使とは「今後対応しない」とツイッターに投稿。9日にはダロック大使を「いかれた男」、メイ英首相を「愚か者」と呼び、英国に対する「口撃」を強めていた。

メイ首相は議会で「ダロック大使が辞任の必要を感じたことは非常に残念だと本人に伝えた」と説明。トランプ政権に対する認識はダロック大使と同じでないとしつつ、大使は率直な評価を自由に下せることが重要と指摘した。

与党・保守党党首選の決選投票に残ったハント外相は9日夕、ダロック大使は辞任すべきでないとの考えを表明。10日には、英議員は英国の外交官が海外の政府から批判を受けた場合、擁護する必要があると述べた。

ジョンソン前外相はダロック大使不支持を表明した。10日の遊説で、文書を漏えいさせた人物は「公務員に深刻な害をもたらした」と指摘した。

ジョンソン氏の支持者からは、ダロック大使不支持を批判する声も上がる。外務省のアラン・ダンカン副大臣は「ジョンソン氏が基本的に自身の利益になるよう、この素晴らしい外交官を犠牲にした」とし、国益にも反するとBBCテレビに語った。

また米国務省の報道官は10日、「米英は誰よりも大きな絆で結ばれており、そのパートナーシップが継続することを期待する。われわれは引き続き米英の特別な関係と共通の世界的な課題に責任を持つ」と述べた。

*内容を追加しました。

Reuters
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