EUが防衛・宇宙部門設置へ、次期欧州委員長「NATOを補完」

2019/09/11
更新: 2019/09/11

[ブリュッセル 10日 ロイター] – 欧州連合(EU)のフォンデアライエン次期欧州委員長は10日、欧州委員会内に軍関連の資金調達と開発、配備を担う防衛・宇宙部門を11月1日に設置すると明かした。フランス銀行(中央銀行)のグラール副総裁を総局長に任命した。

防衛・宇宙部門の設置には英国が長らく反対してきたが、米国は欧州に対し、自立的防衛を進めるように圧力をかけている。フォンデアライエン氏にとってはEUの影響力が薄れることに歯止めをかける狙いがある。

フォンデアライエン氏は記者会見で「EUが軍事同盟となることはない」と述べた。「しかしEU加盟国が一体となって武力を保持することが最も重要であることは何度も言われてきた」と語った。

また、防衛・宇宙部門が米国率いる北大西洋条約機構(NATO)を補完すると指摘。多くのEU加盟国がNATOにも加盟。「われわれの集団安全保障の組織はNATOであり続ける」とも述べた。

米国は防衛・宇宙部門の設置を支持しているが、防衛関連の入札で米企業を締め出さないようにくぎを刺している。

英国は欧州においてフランスと共に主要な軍事大国だが、EUを離脱する方針。ドイツは欧州部隊の弱点を特定しようとするフランスの試みを支持しており、EU全体で足りない部分を補おうとしている。

中国やロシア、米国が他国のミサイルや防空システムを止めることができる宇宙兵器を開発する中で、EUは宇宙関連でも共同で技術開発を進めたい意向だ。

計画の下、武器の開発と購入は130億ユーロの予算がついている防衛基金から資金を捻出する。防衛研究に関してはEUの共通予算を使う。加盟国は予算規模を拡大するためにそれぞれ追加で資金を拠出する。

Reuters
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