大紀元時報

インド、アンダマン・ニコバル諸島の軍事開発急ぐ 中国に対抗

2020年08月29日 17時02分
インド首都ムンバイの建設現場で仕事をする従業員、8月31日撮影 参考写真(GettyImages)
インド首都ムンバイの建設現場で仕事をする従業員、8月31日撮影 参考写真(GettyImages)

インドは最近、インド洋のアンダマン・ニコバル諸島の開発に力を入れている。マラッカ海峡に近いこの地域は、世界の東部と西部をつなぐ海上貿易の要衝に位置する。専門家は、同諸島のインフラ、経済、防衛プロジェクトがインドとその同盟国を支援することになると考えている。

同国メディアの報道によると、8月25日、インド政府は同島にある2つの滑走路を戦闘機が離着陸可能にする開発を進めている。過去数週間にも他のインフラ開発プロジェクトを始めており、島の開発は活発になっている。

「アンダマン・ニコバル諸島は、インド洋への重要なアクセスを提供している。西太平洋とインド洋を繋ぐ航路であるマラッカ海峡を見渡している」と、英ロンドン拠点のシンクタンク、ブリッジ・インディア(Bridge India)の顧問プラティク・ダッタニ(Pratik Dattani)氏は、大紀元の取材に答えた。

ダッタニ氏は、群島のラインを制御することで、理論的に海峡を横切る中国の動きを阻止することも可能で、中国の中東からの主要なエネルギー航路を断つこともできると見ている。

アンダマン諸島とニコバル諸島は、マレーシアとインドネシアの間にあるマラッカ海峡の海峡沿岸に浮かぶ、572の島々からなる群島ライン。住民が居住する島は38島だが、インドの排他的経済水域(EEZ)の30%を占める。

インド洋の奥深くにある海上境界線にひろがり、マラッカ海峡に近接していることから、多くの海上貿易がインドのEEZを必然的に通過する。

「これらの島々は中国の重要な海上交通路に目を向けるための戦略的な場所に位置している。インドは必要性の高い重要なカードを得ることができる」と、ニューデリー拠点のシンクタンクであるオブザーバー・リサーチ基金(Observer Research Foundation)の調査部長ハーシュ・パント(Harsh Pant)氏は、大紀元の取材に答えた。

戦略国際問題研究所(CSIS)によると、世界の貿易量の80%、金額の60%は海上を経由している。このうちの60%が、マラッカ海峡を通過している。同海峡はスエズ運河、パナマ運河、ホルムズ海峡にならぶ重要な国際航路の一つとされる。

CSISは報告書の中で、「特に中国、台湾、日本、韓国にとって重要な海域だ。これらの国はいずれも南シナ海、太平洋とインド洋を結ぶマラッカ海峡に依存していると言っても過言ではない」としている。 

インドの政治アナリストでゴーラクプル(Gorakhpur)大学国防研究を担うギリシュ・カント・パンディ(Girish Kant Pandey)准教授は、大紀元の取材に対して、中国の石油貿易の80%および貿易全体の60%がマラッカ海峡を通過しており、中国もまたインドのEEZを通過することは不可避であると語った。

「中国が将来攻撃を仕掛けてきた場合、インドとその同盟国は自国の領海から海上貿易を阻止することで、中国の攻撃を抑えることができる」とパンディ氏は述べた。「マラッカへの入国が締め切られると、中国はより長い迂回路をとらざるを得なくなる。それは商品の価格を著しく上昇させるだろう」と付け加えた。

インドの再注目

ガルワン渓谷での中印衝突で死亡した兵士を弔う家族、6月18日撮影 (Narinder Nanu / AFP via Getty Images) 

6月15日にヒマラヤ国境地帯のガルワン渓谷で、インドと中国の兵士による衝突が発生し、複数の死傷者が出た。以来、インドは対中防衛戦略を強化している。

また、インドは、経済的、戦略的にアンダマン・ニコバル諸島を開発することに興味を示してきた。インドのメディアは25日、国が軍事利用のために諸島にある2つの滑走路をアップグレードしていることを報告した。

「2つの島の領土はインドにとって新しい空母のようなものだ。本土から遠く離れたこの地域で海軍の範囲を拡大するだろう」と、3地域担当司令官は日刊紙ヒンドゥスタン・タイムズに語った。

この「空母」は、インドがベンガル湾からマラッカ海峡までを安定させるのに役立つだろうと、前出のダッタニ氏は述べた。

「中国の一連の大胆な行動への対抗策は、インドにとって喫緊の課題だ。しかし、一貫した海洋安全保障計画の一環である必要がある」と、ダッタニ氏は語った。

さらに、中国はマラッカ海峡に代替する運河の建設を、タイに圧力をかけて進めているとの報道もある。インドメディアによれば、マレー半島を切断して、新たな運河建設を提案しているという。

10日、モディ首相は沿海都市チェンナイとアンダマン・ニコバル諸島の都市ポートブレアを結ぶ、2300キロメートルの海底光ファイバーケーブル(OFC)プロジェクトを開始した。ダッタニ氏によると、これは島々とのリアルタイム通信に役立ち、協力協定を結ぶクワッド(インド、日本、米国、オーストラリアの安全保障対話)の広範な海洋戦略の一部であるという。

この光ファイバー網の開始表明の前日、モディ首相は、アンダマン・ニコバル諸島の12の島々にもインフラを拡大して、同諸島の「影響力の高い」交通路のハブ化に向けたプロジェクトの拡大も公表している。

友好的な海軍に島を開放

専門家によると、アンダマン・ニコバル諸島の開発は、インドとインド太平洋地域のパートナーのための先進的な軍事基地への発展につながると見ている。

「インドは、海洋地理上の戦略的位置であり、将来の不測の事態に備えた先進的な基地としてアンダマン・ニコバル諸島を開発することができる。私たちはすでに3軍司令部を持っており、米国、日本、オーストラリアとともにマラバール演習に参加している」と前出の政治アナリスト・パンディ氏は語る。

マラバール演習はインド、米国、日本の海上合同演習で、2020年にはオーストラリアが参加した。

「中国は、多額の債務を抱えている14の太平洋諸島を接収し、航行政策を中国の意向に応じて変更できるようにしている。これらの島々はオーストラリアの貿易ルートを通過するため、オーストラリアは中国に対する攻勢を強めている。オーストラリアがマラバール演習に参加した理由の一つはそこにある」とパンディ氏は語った。

インドのマノハール・パリカル国防研究所(Manohar Parrikar Institute for Defence Studies and Analyses)の所長であるスージャン・チノイ(Sujan R.Chinoy)氏は、6月26日の政策説明の中で、アンダマン・ニコバル諸島の戦略的潜在力の活用について語った。所長は、インドは米国、日本、オーストラリアの友好国にこれらの島を開放すべきだと述べた。

「米国について言えば、過去に米海軍艦艇や航空機がアンダマン・ニコバル諸島へのアクセス権を与えられたことはない。インドと米国が包括的なグローバル戦略的パートナーシップを構築しており、米国がインドの最大の防衛パートナーであることを考慮すれば、是正すべき問題である」とチノイ氏は言う。

前出のオブザーバー・リサーチ基金のパント氏は、これらの島々はインド太平洋地域で力を発揮する上で、インドの最も重要な前哨基地になる可能性があるが、インド政府は同じ志を持つ国々と協力しなければならないだろうと述べた。

「アンダマン・ニコバル諸島を先進的な海軍前哨基地、特にインド洋での中国潜水艦の動きを追跡するのに使用できる基地に発展させるためには、米国との間で高度な技術協力が鍵となる」とパント氏は述べた。

(VENUS UPADHAYAYA/翻訳・佐渡道世)

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