大紀元時報

中国の弾道ミサイル発射は事前通告なし「北朝鮮なみに卑劣」=知中家の松田東大教授、RFAインタビュー

2020年09月01日 15時35分
2019年9月、訪米した安倍首相はトランプ米大統領と会談した(GettyImages)
2019年9月、訪米した安倍首相はトランプ米大統領と会談した(GettyImages)

安倍首相は8月29日、体調悪化を理由に辞任を表明した。東京大学の松田康博教授は、与党自民党には日米同盟を変えたいと思っている人はおらず、安倍首相が辞任しても大筋の路線は変わらないとみている。

東シナ海、南シナ海における中国軍の動きはますます活発になっている。中国軍はこの1カ月間で4地域9回の大規模な軍事訓練を行った。8月26日には南シナ海に中距離弾道ミサイルを発射した。これに応じて、27日には米艦艇が「航行の自由」を主張するパラセール領海を航行した。29日、グアムを訪問したエスパー米国防長官は、中国軍の一連の行動は近隣諸国を不安にさせていると語った。

もし米中対立がエスカレートした場合、日本はどう対応するのだろうか。米議会が支援するラジオ・フリー・アジア(RFA)のインタビューに応じた東京大学の松田康弘教授は、日本側が軍事衝突を望んでいないのは明白だと述べた。

松田氏は、中国は米国の圧力に対応する手立てが少なく、定例軍事演習を大々的に報道したことは政治的な意味を持ち、「米国に屈せず抵抗を続ける」というメッセージを発信していると分析する。松田氏によれば、中国は大きなジレンマに直面している。米国からの度重なる圧力にある程度対応するものの、過剰に対応すれば米国を刺激し、さらなる圧力を招き、悪循環に陥ると考えている。

米国はスパイ拠点とみなしてヒューストンの中国総領事館を閉鎖させた。さらに、林鄭月娥行政長官を含む香港高官11人に対し制裁を課した。この動きについて、中国は米国が本格的な対立姿勢に入ったと捉えたのではないかと松田氏は考えている。また、最高指導部メンバーを含む中国高官の海外資産が開示される可能性がある。

米国は最近、中国の指導者にとって致命的となる「金融の兵器化」を実行しているため、中国は姿勢を軟化させている。中国現役指導者と引退高官が主要な国家課題を話し合う夏の北戴河会議では、米中関係の安定化への努力が決定した。

「米国はそれでも対中圧力を減らしていない。このため、中国は軍事演習を大々的に宣伝したりミサイル発射を行っている」と松田氏はみている。

事前通告なしミサイル 北朝鮮のような卑劣な攻撃

中国は8月26日のミサイル発射を事前通告しなかった。1996年に中国のミサイル発射は、台湾近海の航空機や船舶に事前通知した。しかし今回、中国は北朝鮮のように通告なしに発射した。松田氏は「非常に軽率で卑劣な攻撃」だと例えた。

いっぽう、中国はミサイルの打ち上げを撮影したはずだが、その映像を使って反米感情の扇動に使用しなかった。松田氏は、米国が圧力をかけ続ければ、中国共産党は1995~96年に台湾海峡でミサイルを発射した時のように、発射映像を流して大規模なプロパガンダと軍事演習で国民感情を煽るかもしれないという。しかし、現在のところ、その動きはないという。

当時、中国は台湾に対して大規模な軍事攻勢を仕掛け、その結果、台湾と米国の軍事協力が緊密化し、世界的に中国脅威論が台頭し、北朝鮮と中国の軍事演習により日本の安全保障関連法案が相次いで可決された。中国は同じ轍を踏まないだろうと松田氏は見ている。

いっぽう、中国のミサイル発射は「中国のレッドラインに踏み込むな」という米国向けのシグナルになるという。例えば、米アザー保健衛生長官の訪台は、中国にとって「ぎりぎりのレッドラインだ」という。さらなる米高官が台湾を訪れる可能性もある。

松田氏によると、米国は台湾戦略をあえて曖昧にしているという。「事前に米国が台湾防衛に協力すると言えば、台湾が中国を挑発し続けることを許していることになり、介入しないと宣言してしまえば、台湾が中国の手中に収まることを許すことになる。中国の台湾侵攻に介入するかどうかは、米国の国益によるだろう」

安倍首相の辞任表明 日米関係は大筋変わらず

松田氏は、安倍晋三首相の辞任と日米関係について「自民党内には日米同盟を根本的に変えたいと思っている人はいないし、安倍首相が辞任しても大筋は変わらない」と述べた。

松田氏は、日本の立場は平和と安定の維持だと語った。日本主流の解釈は、米国の対中圧力は中国の軍事行動を抑止するためのものであり、中国を挑発して開戦に追い込むためのものではない、と述べた。

いっぽう、米中戦が勃発した場合、東シナ海、台湾海峡など、日本に非常に近い場所で起こる可能性がある。「台湾にいる日本人は2万人を超えている。台湾海峡で有事が起きれば、避難しなければならない。米軍が救助に駆けつけた場合も日本は後方支援できるし、米国を支援するための集団的自衛権も行使できる。この場合、中国は同時に台湾、日本、米国と戦うことになり、中国にとって最悪のシナリオだ」と松田氏は分析する。誰もこの衝突を見たくはないし、双方が回避するための努力をするべきだとも付け加えた。

米中対立がエスカレートするなか、日本の防衛省は最近、米軍が山口県の岩国基地で10月から段階的に、最新ステルス戦闘機F-35Bの追加配備を開始すると報じた。松田氏によると、この動きは、第一列島線を守ろうという米軍の強い意志を示しているという。

さらに、8月29日、米領グアムでマーク・エスパー米国防長官と河野太郎防衛相が会談した。米国防総省は、日米はインド太平洋地域の強固な同盟国であることを確認し、地域と世界における中国の行動に強い関心を向けているとの声明を発表した。

両氏の会談は東シナ海・南シナ海での中国の軍事動向が中心議題だった。「中国共産党の指揮により、近隣諸国への威嚇と強制、東シナ海・南シナ海への継続的な侵略など、この地域における中国の有害な行動についての議論が交わされた」と声明にある。

「尖閣諸島に対する日本の施政を損なう一方的な行動に反対する。中国の地域の不安定化を招く行為には断固として反対する」とエスパー氏は強調している。

日米防衛相が会談したグアムには、米軍の超音速ステルス戦略爆撃機B-1Bが配備され、東シナ海まで最短2時間で到達する。また、台湾近海には潜水艦が配備されていることが推測される。

松田氏は、中国軍が中距離弾道ミサイルで米軍の動きを封じ込められるという認識は誤りだとした。米軍側は強力な軍隊を用意し、即座で正確な反撃を展開できる能力を持っているとみている。

過ちの代償として、米国は真珠湾攻撃後に日本に何が起きたかを中国は学ぶ必要があると警告している。もし中国が沖縄の米軍基地や、空母打撃群に先制攻撃したら、米国の反撃は深刻なものとなり、本格的な報復行動に出ることが考えられる。このため、中国は先制攻撃については慎重に判断するべきだと語った。

(翻訳編集・佐渡道世)

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