大紀元時報
王赫評論

中国が日本を「特別視」する理由とは

2021年4月17日 17時52分
2003年6月14日、ホンダに部品を供給している日系企業、オートパーツアライアンス(中国)の広東工場で働く溶接工(PETER PARKS/AFP via Getty Images)
2003年6月14日、ホンダに部品を供給している日系企業、オートパーツアライアンス(中国)の広東工場で働く溶接工(PETER PARKS/AFP via Getty Images)

日中間の強い経済的な繋がりは日本の対中政策の足枷になっている。しかし、両国の経済が依存関係にあっても、それは双方向なものである。強いて言えば、中国の日本に対する依存度は、日本の中国に対する依存度よりも大きい。日本はこの問題を戦略的な観点から理解できれば、対中政策を大胆に転換させることが可能になる。

「日本の衰退」「失われた30年」「『日本は技術的には成功したが市場では失敗した』という呪縛から抜け出すには、日本は中国と協力するしかない」といった説が中国のメディアやネット上に氾濫しており、多くの人がそれを信じている。

しかし、これらは中国が意図的に仕組んだ精巧な嘘に過ぎない。中国当局の対日政策は、これとは違うものだ。

例えば、2016年に米国は最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」を韓国に配備することを決めた。その際、反発する中国は米国には何もしなかったが、韓国に経済的制裁を科した。

中国は、限韓令(韓流コンテンツ禁止令)、ロッテグループへのボイコット、旅行禁令などの制裁を通じて、文在寅(ムン・ジェイン)政権にサードの追加配備しないことを約束させ、妥協を引き出すことに成功した。

しかし、このケースと対照的な、別の物語もある。2017年12月、日本政府はミサイル攻撃への防衛のため陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」2基の導入を決定した。(2020年6月25日に配備計画の停止を正式に発表している)

ただ、韓国のサード配備と違って、日本は自主的に導入を決めた。中国は日本の動きを東アジアの戦略的バランスへの破壊だと批判したが、経済的制裁は日本に科していない。

なぜだろうか?

近年、中国は「戦狼外交」を展開し各国に牙をむいている。上述の韓国のケースに加え、今進行中の別のケースもある。中国の人権問題を批判し、国際社会で初めて中共ウイルス(新型コロナウイルス)の源の独自調査を率先して提案したオーストラリアに対して、中国は激しく打撃を加えている。

ならば、なぜ中国は日本だけを「特別扱い」するのだろうか。実際、中国は何も日本だけを特別視しているわけではない。中国はただ単に弱者に苦しみを与え、強者には媚びへつらっているだけである。つまり、日本に対する特別扱いは、熟考の末にそう選択せざるを得なかっただけである。

実際、1995年以降、日中関係は常に摩擦が絶えなかった。中国の対日政策の基本措置の一つは「政治と経済の分離」であり、政治的理由で両国間の経済協力を干渉しないことを常に強調してきた。その主な原因の一つは、中国が経済的に日本に依存しているからだ。

これはある意味、日本経済の強さを証明している。つまり、中国経済は共産党が宣伝しているほど強くないこと、そして日本経済は決して衰退しているわけではない、ということだ。

もちろん、日本経済には深刻な問題が存在している。しかし、中国経済は日本以上に致命的な欠陥を抱えている。現在の傾向が続けば、予見可能な将来において日本経済は、より良く発展する可能性があるが、しかし中国経済はいつでも崩壊する可能性がある。つまり、中長期的には、日中の経済的対比は、必ずしも中国が勝利するとは限らない。

1990年代に、日本のバブル経済が崩壊し、それ以来、日本は変革を求め困難な道を歩んできた。

日本の経済的付加価値は2000年以降、足踏み状態だが、世界範囲から見れば日本企業は各業界のコア技術をほぼ支配している。また先端技術の十数の分野において、日本は常にトップ3に入っていることだ。さらに、日本は科学技術業界では18年連続でノーベル賞受賞者を出している。

日本企業の収益規模は1980年代と比べれば、それほど変化していないかもしれないが、日本の技術力は着実に強くなり、またその底力も充実している。言い換えれば、過去20年は、日本経済がソフトランディングに成功した20年であり、また日本が経済変革を成し遂げ、産業をアップデートさせ、内なる強さを増強した20年だったとも言える。

この結論に関しては、日中貿易の観点からも検証できる。「2000~18年までの中国関連分野の公式データ」と「2019と20年の中国海関総署の関連データ」に基づいて分析を試みた。

2019年の日中貿易総額は前年比3.9%減の3150億ドルで、うち中国の対日輸出は1432.3億ドル、日本からの輸入は1717.6億ドル、貿易赤字は285.3億ドルとなっている。

2020年の日中貿易総額は前年比0.8%増の3175.38億ドルで、うち中国の対日輸出は1426.64億ドル、日本からの輸入は1748.74億ドル、貿易赤字は322.1億ドルである。

上のデータから次のことがわかる。

第一に、中国は10年以上にわたって日本最大の貿易相手国であるが、日中貿易は2011年に3429億ドルのピークに達した後、2012年に尖閣諸島問題をめぐって関係が悪化し、今も完全に回復していない。

第二に、2015年、中国の対日赤字が73億ドルに減少した後、徐々に増加し、2018年には335億ドルに達していることからも、中国の輸出能力が年々減少していることを示している。

中国が日本から輸入している商品をカテゴリー別に分析してみた。2018年のトップ5の輸入商品はそれぞれ、機械・電気機器および部品が852億ドル(47.2%)、精密化学製品(肥料、化粧品など)が203億ドル(11.2%)、車両・船舶などの輸送設備が187億ドル(10.4%)、光学・医療機器が165億ドル(9.1%)、ベースメタル製品(金属製機械など)は149億ドル(8.3%)となっている。

この5項目だけで全体のほぼ9割近くを占めている。全体的に見れば、いずれも科学技術系製品のパーツ、または精密生産設備となっている。

一方、日本が中国から輸入している主な商品は「機械・電気製品」「繊維品・原材料」「家具・玩具」などとなっており、2018年の輸入額はそれぞれ、789億ドル、218.8億ドル、107.5億ドルで、日本の中国からの輸入総額の45.5%、12.6%、6.2%を占めている。

また、日本は同時に「機械・電気製品」の輸入および輸出大国でもある。日本は技術的含量の高い精密機械・電気製品を多く輸出しているが、同時に中国から一部の低価格で技術的含量が少ない製品も輸入している。日本はそれを利用したり、または加工して輸出している。

この分析結果からも、中国よりも日本のほうが経済的・技術的な優位性を持っていることは明らかである。

長年にわたって、日中関係は常に摩擦が絶えないにもかかわらず、中国は経済技術協力の強化と「政治と経済の分離」を常に強調してきた。その意図は明白である。

中国の虫のいい計算によれば、全面的に日中関係と経済協力を強化すれば、少なくとも2つの利点があるとしている。

1つは、現段階で米国から入手できなくなったコア技術のほとんどを日本から得ることができる。

2つは、日中経済貿易協力を強化すれば、米国に圧力をかけることができる。(中国は、あらゆる手段を講じて日米同盟の仲を裂き、分離、弱体化させようとしている。そのため、中国は、日本が米国の影響力から抜け出したいと吹聴している)

中国の企みを日本は当然、理解している。日本はその備え持つ経済的、技術的優位性を生かして、また、外交においても、中国に効果的に対抗できると筆者は考える。外交分野についてまた別稿に譲る。

(大紀元日本ウェブ編集部)

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