大紀元時報

政治をスポーツに持ち込む中共政府 北京五輪前、海外記者が脅迫に遭う恐れ

2021年8月5日 06時00分
中国・張家口にある2022年北京冬季五輪で使用される選手村(Photo by Lintao Zhang/Getty Images)
中国・張家口にある2022年北京冬季五輪で使用される選手村(Photo by Lintao Zhang/Getty Images)

2022年2月に開幕予定の北京冬季オリンピックに合わせて、多くの海外メディアが取材のために北京入りする。共産党政権は、海外メディアに党の視点を取り入れるよう強圧的に推し進めており、報道の自由を敢行しようとする外国人記者に対して、脅迫や嫌がらせをする動きがある。

東京五輪が盛会を迎えている。同時に、北京冬季五輪開幕まであと半年に迫った。東京大会同様、海外メディアが取材のために北京入りする。共産党政権は、海外メディアに党の視点を取り入れるよう強圧的に推し進めており、報道の自由を敢行しようとする外国人記者に対して、脅迫や嫌がらせが行われる可能性がある。

この数か月間、中国の国営メディアや外交官、官僚などは、中国について「偽情報を報道している」と外国記者やメディアを非難していた。中国政府は最近、新疆ウイグル自治区の再教育収容所を大々的に報道してきた英国放送協会(BBC)に批判の矛先を向けた。

7月、河南省鄭州市の洪水を取材していたドイツ公営放送「ドイチェ・ベレ」のマティアス・ベーリンガー(Mathias Boelinger)記者や、米紙「ロサンゼルス・タイムズ」のアリス・スー(Alice Su)記者は、鄭州市内で市民に取り囲まれた。

海外メディアについて不信感を口にする市民は、ベーリンガー記者の腕をつかみ、携帯電話を使って海外メディアのクルーの様子を撮影しながら、「中国を誹謗中傷するな」「中国に泥を塗るな」と叫んだ。その後、いくつかの在中の報道機関は、殺害予告や脅迫電話を受けたという。

駐華外国記者協会(FCCC)は先週、「中国にいる外国人ジャーナリストの身の安全は脅かされている」と警告し、メディアを取り巻く環境は緊迫していると説明した。

関連記事:共産党系団体、水害報道の外国記者への脅迫呼びかける 英BBCが中国政府に対処要請

「身の安全を心配、中国を訪れたくない」

ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)の中国担当調査員・王亜秋(Maya Wang)氏は「多くのジャーナリストは身の安全を心配している。これは2008年にない状況だ」とVOAに述べた。

河南省の水害を取材したメディアに対する嫌がらせの発生後、複数人の外国人ジャーナリストは、王氏に懸念を語ったという。王氏は「彼らは、北京五輪でもこのようなことが起こるではないかと心配している」と述べた。

中国問題に関心を持っているジャーナリストや学者の中には、機会があれば、また中国に訪れるのかどうかを率直に疑問に思う人もいる。

アジア・ソサエティの米中関係センターが発行するオンラインマガジン「チャイナファイル(China File)」が6月に発表した調査によると、中国問題研究者など121人の回答者のうち40%が、新型コロナウィルスの渡航規制が解除された後は、中国に「おそらく行かない」または「絶対に行かない」と答えている。

中国が2018年にカナダ人2人をスパイ容疑で拘束したことで、この懸念が高まっている。米紙「ロサンゼルス・タイムズ」の北京特派員局の元担当者、ジェームズ・マン(James Mann)氏によると、「数年前に批判的な発言をしただけで、報復として投獄されるのではないかと考えなければならないほど、状況が悪い」という。

いっぽう、中国政府はこうした指摘は事実に反すると否定している。中国共産党の定めた「ルールに違反した者」は身を案じるように、と圧力をかけている。さらに、中国市民の怒りは西側の発した「フェイクニュース」や「偏向報道」の結果だと主張している。

ネガティブな評判を恐れる中国当局

北京冬季オリンピックの取材を予定している外国人ジャーナリストは、身の安全を心配する必要がないとの見方もある。そもそも大会期間中、中国当局は中国問題に積極的に報道するメディアを締め出す可能性があるからだ。

駐華外国記者協会(FCCC)によると、昨年以降、少なくとも20人の外国人ジャーナリストが追放されたり、国外退去を余儀なくされた。これは、欧米諸国が中国国営メディアに課した規制への報復とみられている。

追放されたジャーナリストの多くは、ウイグル人の人権侵害問題や香港の民主化デモに対する弾圧など、中国共産党体制にとって都合の悪い話題を取り上げていた。

シンガポール国立大学の林大偉(Lim Tai Wei)准教授は、「現在の感染拡大は、ジャーナリストの活動空間を制限する措置を正当化する理由になるだろう」と推測した。

また、中国は、オリンピックの取材を申し込むジャーナリストに対して、事前審査を行う可能性もある。「(中国当局に対して不利益発言をした)記録のある人は、オリンピックを取材できないかもしれない」と話した。

中国は、一般のスポーツジャーナリストの何気ない一言でへそを曲げることがしばしばある。東京2020オリンピック大会期間中、中国当局はNBCが開会式で使用した中華人民共和国の地図に、台湾南シナ海を含めなかったことにクレームを発した。

(翻訳編集・蘇文悦)

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