大紀元時報

「9.11」から20年 対テロ戦尻目に...増強続ける中国共産党

2021年9月11日 14時37分
ハイジャックされた旅客機が、世界貿易センターに衝突した。2001年9月11日撮影(Photo by Robert Giroux/Getty Images)
ハイジャックされた旅客機が、世界貿易センターに衝突した。2001年9月11日撮影(Photo by Robert Giroux/Getty Images)

11日、テロ組織「アルカイダ」が米民間旅客機をハイジャックして、ニューヨークの世界貿易センタービルに衝突した事件から丸20年を迎えた。バイデン米大統領は3日、「9.11同時多発テロ」に関する捜査をめぐって、司法省などの関連部署に「今後6カ月後で」文書を公開するよう指示する大統領令に署名した。

米国はこの約3000人の命が奪われた同時多発テロから1カ月もたたないうちに、アフガニスタンへの空爆を開始。イスラム組織「アルカイダ」を擁するタリバン政権打倒を当初目的とした、対テロ戦争を開始した。

20年におよぶ「米国史上最長の戦争」は、今年8月、アフガン戦争は武装勢力タリバンの制圧、バイデン政権の米軍完全撤退という形で幕引きを迎えた。アフガン・イラクで展開した対テロ戦で、米国はこの期間中7000人の兵士の命を失い、帰還兵は後遺症に苦しんだ。対テロ戦の戦費総額は700兆円に及ぶとの試算もある。

対テロ戦では、誰が「勝利」したのだろうか。カタールのジョージタウン大学のアナトール・リーべン教授は、「世界的な反テロ戦争の勝者は、中国だと考えることができる」と分析した。

対テロ戦の勝利者

00年代当時、米軍機による南シナ海の墜落や、ダライラマ14世の訪米といった米中関係の悪化要素が並んだが、中国共産党はこれらを棚上げして、9.11以後の「対テロ戦」で協力姿勢を示すことで、緊張緩和への機会に変えた。さらに、テロ対策で莫大な資源を費やす米国を尻目に、中国は世界的な影響力を及ぼす大国へと台頭した。

リーべン教授によれば、中国は急速に力をつけ、米国の世界支配に対抗するための「重要な10年」を確保していた。米国はこの大きな新興国に対する警戒心は大きくなく、戦略的な対中包囲の形成に注力することができなかった。 

リーべン教授によると、米国の政策重心と莫大な資源は、アフガニスタンとイラクでの戦争、および国土安全保障に費やされたという。軍費は主に、陸軍と反テロ戦略に投入された。いっぽう、将来中国に対抗するために必要な沿岸部の海軍と空軍の増強は相対的に薄手になった。

WTO加盟で急激に経済力を付ける

この20年で、中国はグローバル経済の仲間入りをしている。米国内の親中派の協力を得て、2001年末にWTO(世界貿易機関)に加盟。グローバルな経済に関わることで莫大な利益を獲得した。世界銀行によると、購買力平価(PPP)で見た中国のGDPは、2001年の4.7兆米ドルから2020年には23兆米ドルまで急伸。いっぽう、中国のWTO加盟以降、米国の対中貿易赤字は増加し続けている。

米商務省によると、米国の対中貿易赤字は2001年の830億米ドルから2018年には4192億米ドルへと急増した。経済学者らは、中国の経済規模は約10年後に米国を抜くだろうと予測している。

中国は経済成長とともに、軍備拡張が顕著になってきた。米国防総省が定期に発表する「中国の軍事力報告書」によると、中国は2001年に350発の対台湾の短距離弾道ミサイルを配備した。2018年には、中国は長・中・短距離の弾道ミサイルの約2000基を保有している。

また、中国は「世界で最も活発な陸上弾道ミサイルおよび巡航ミサイルプログラム」を推進しており、2010年以降、ミッドコースのミサイル迎撃実験を5回実施した。中国側の主張によれば、核保有国が中国に対して核攻撃を行うことを抑止することを目的としているという。

テロ脅威から関心薄れ...次の標的は米国?

中国のこうした軍拡を許したのは、米国の対中評価の失敗にあるとの分析もある。2004年に発表された「911調査委員会報告書」によると、「911テロ事件の発生以降、米国政府は大きくなっていく脅威に対して、過小評価する傾向がある」と指摘した。

20年前の事件から時間が経ち、米国世論の抱くテロの懸念は、過激派組織そのものから移行して、偽情報などの別の事柄に移っている。2021年8月13日、米国土安全保障省(DHS)は「米国本土に対するテロリズムの脅威のまとめ」を発表した。このなかで、9.11首謀者である「アルカイダ」には触れず、「COVID-19の起源やワクチンの有効性についての陰謀説の増幅」を警告している。

この過激派に対する危機感の低下に、専門家は警鐘を鳴らす。米シンクタンク・独立研究機構のロイド・ビリングスレイ政策研究員は、英語大紀元に対する寄稿文で、「DHSは現在、イスラム過激派によるテロを無視し、憲法上の権利を行使しようとする『米国』を標的にしている。他の連邦政府機関と同様に、DHSはテロ対策としての国境警備を重視してない。この場合、機知に富んだ敵であれば、妨害者を簡単に潜入させることができるだろう」と見解を述べた。

また、ビリングスレイ氏は、中国の工作員もこの国境警備の穴を利用する可能性があると警鐘を鳴らす。在米華人の中には、中国人民解放軍と関係のある人もいる。

米司法省は最近、ビザ申請時に中国軍との関係を隠したとして告発された中国人研究者らを、不起訴処分とした。ビリングスレイ氏は軍事衝突になった際に、中国共産党がプロパガンダ、サボタージュ、暗殺などの任務を容易に展開することができるだろうとの分析を示した。

(大紀元日本語編集部)

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