ドローンのイメージ写真(Mario Tama/Getty Images)

中国、伊ドローン会社を違法買収 伊政府2年間知らされず

米メディア「The Wire China」はこのほど、「イタリアドローンのドラマ(Italy's Drone Drama)」と題した記事を掲載した。記事の中で、中国が2018年に香港のオフショア企業を通じてイタリア政府に察知されずに同国ドローン企業の買収をしたことを取り上げた。

香港企業を「隠れ蓑」に、中国が密かに違法買収を行う

買収されたのはイタリアの航空機製造メーカー「Alpi Aviation」で、イタリアの特殊部隊や北大西洋条約機構(NATO)に軍用ハイテクドローンを提供している。

中国企業は2018年、密かに同社を支配下に置いた。

「The Wire China」によると、イタリア警察は9月2日に、「Alpi Aviation」社が2018年に香港企業によって、400万ユーロ(約5億2000万円)で株式の75%を買収されていたと発表したという。市場価格の90倍の価格だ。

同国警察によると、香港企業の背後には複雑で不透明な株式持ち合いネットワークが存在し、15もの中国企業が名を連ね、真の所有者を隠していた。最終的に中国国有企業2社が真の買い手であることを突き止めたと報じた。

2社はそれぞれ、中国企業連合会(CCUI)と鉄道車両製造大手・中国中車(CRRC)の子会社、中車キャピタル・ホールデングスだ。CRRCは中国軍とつながりがあるとして、2020年6月以来、米国防総省のブラックリストに登録された。

イタリアの法律では、軍需産業に関わる国内企業は欧州連合(EU)以外の買い手との売却交渉には政府の許可を求める必要がある。にもかかわらず、2年間にわたって同社は売却をイタリア政府に通知しなかった。

この買収案は政府がAlpi Aviationを対象とする別の調査を行った際に発覚した。

中国の目標:ドローン技術

イタリア警察は、中国がAlpi Aviationを買収した目的は、投資ではなく、同社の軍事技術の獲得のためだと考えていると、イタリア紙コリエーレ・デラ・セラが報じた。

同国警察は、買収に関わったイタリア人3人と中国人3人が、政府への報告を怠り、イタリアの「武器流通法」および「イタリア戦略企業保護法」などの法律に違反した疑いがあると告発した。

容疑者らは技術を盗んだだけでなく、生産拠点まで中国の無錫市へ移そうとしているという。

ドローン技術が中国軍へ渡る可能性が高い

The Wire Chinaによると、Alpi Aviation社の技術が、中国国有企業2社を通じて中国軍に渡ったかどうかは「まだ不明」としている。

大紀元のコラムニストであるStu Cvrk氏はかつて、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)の分析を引用して、中国は経済や軍事力を高めるために、「軍民融合」政策を策定し、実施していると指摘している。

ウィルバー・ロス前米商務長官は、2017年8月15日付の「フィナンシャル・タイムズ」への寄稿の中で、「中国投資の最優先事項は収益ではなく、他の目的に使用できる新技術の獲得だ」と指摘していた。

インターネットテクノロジー企業「Recorded Future」社の脅威インテリジェンスアナリストであるDevin Thorne氏は、The Wire Chinaに対し、「Alpi Aviation社の買収に中国中車(CRRC)が関与したことが特に懸念される」と指摘した。鉄道輸送の重要性から考えれば、CRRCは「共産党の国防計画に関わっている可能性が高い」と述べた。

Thorne氏はCRRCが関与した2008年の買収案について言及した。

「CRRCの前身である中国南車(CSR)が同年、間接的に買収した英パワー半導体メーカー、ダイネックス社の技術が最終的には中国の軍事技術者の手に渡った」ことを指摘した。

(翻訳編集・李凌)