2021年8月23日、ファイザー社の新型コロナウイルスワクチン(Robyn Beck/AFP via Getty Images)

ワクチンパスポートは「監視システムを構築する」=プライバシー専門家

世界でも有数のプライバシー専門家として名を馳せるアン・カブキアン博士は、政府が義務付けるワクチンパスポートが、健康情報や所在地の追跡を可能とする監視システムを構築することになると警鐘を鳴らした。

現在「グローバル・プライバシー・アンド・セキュリティ・バイ・デザイン・センター」の最高経営責任者を務めるカブキアン氏は、ワクチンパスポートを通じて収集された健康情報は、世界中の人々の地理的な位置情報と関連付けて保持できると指摘。「政府は監視を行い、あなたがいつどこにいて、誰と一緒にいたのかを把握することができる」と述べた。

このようなデータの追跡により、何百、何千ものサイトがワクチンパスポートの情報を入手することによって「世界的な監視デジタルインフラ」が構築されると、その危険性を訴えた。

また、ワクチンパスポートが一時的な措置であっても、「プライバシーを侵害するような措置は継続されることが多い」と指摘した。例として、米国で2001年に制定された愛国者法を挙げ「パンデミックが終わっても、人々はワクチンの接種の有無の提示を求められる可能性がある」と述べた。

愛国者法は、2001年9月に発生した同時多発テロ事件のわずか6週間後に制定した。政府の権限を拡大する法律で、当局は裁判所の令状なく、テロ対策名目で電話やメールの通信情報を入手できるようになった。いっぽう、プライバシー侵害の問題があると専門家らは指摘する。

「プライバシー対公共の安全」であってはならない

カブキアン氏は、プライバシーの侵害は本質的に市民をより脆弱にすると指摘。ワクチンパスポートの代わりに、迅速な検査などの侵襲性の低い手段を導入するべきだと強調した。

「プライバシー対公共の安全というのは絶対にあってはならないし、ゼロサムゲームではない。プライバシーと公共の安全を両立させる必要がある」と述べた。