ルカ・ビンニヤット氏 (Courtesy of Lucas Binniyat)

米国務長官にナイジェリア大紀元記者の釈放を求める 人権団体など

「投獄された作家の日」の40周年を迎える11月15日、アントニー・ブリンケン米国務長官宛に、英文大紀元(エポック・タイムズ)のナイジェリア人の釈放を求める請願書が提出された。米議会下院の超党派の「トム・ラントス人権委員会」は、報告会を開催し、不当に投獄される記者が急増していると警鐘を鳴らした。

ナイジェリアのキリスト教徒に対する残虐行為を最前線で報道してきた英文大紀元のルカ・ビンニヤット記者が11月4日、現地当局に拘束された。

52歳のビンニヤット氏は、ナイジェリアの国家安全保障委員サミュエル・アルワン氏に対してサイバーストーカー行為を行ったとして、11月9日にカドゥナの治安判事裁判所に起訴された。

学者・研究者向けSNSのリサーチゲートによると、ナイジェリアの法律では、サイバーストーキングは「インターネットを通じて、特定の者に違法行為や傷害の恐れを抱かせる目的で、脅迫や嫌がらせをする行為」と定義されている。

ハドソン研究所の宗教自由担当ディレクター、ニーナ・シア氏は、ナイジェリア当局が定義する「サイバーストーキング」は恣意的に使われるもので、記者は「でっちあげの罪」で逮捕されたと批判した。

釈放を求める請願書

米国を拠点とする非政府組織「迫害されたキリスト教徒を救う会」のデデ・ラウゲセン事務局長は、ブリンケン氏に請願書を提出した。ナイジェリアのムハンマド・ブハリ大統領に対し、ビンニヤット氏の訴追の再考を要請するよう求めた。ブリンケン氏は、15~20日の日程でケニアやナイジェリアを訪問している。

請願書は、ナイジェリアにおける言論・報道への深刻な侵害や、暴力的なイスラム教徒フラニ族により虐殺されているキリスト教徒のコミュニティの実態をつづった。これらの問題に対して、当局は「調査もせず放置している」と指摘し、米国務長官から重大な懸念を表明するよう求めている。

請願書はさらに「ビンニヤット氏は、ナイジェリアで横行する残虐行為の犠牲者を蔑ろにし、放置している当局者の不対応を報じたために、不当に拘束されたジャーナリストだ。ビンニヤット氏の釈放を求める国際的な圧力は、迅速かつ厳しいものであるべきだ」と続けた。

「表現や意見の自由というビンニヤット氏の普遍的な人権を侵害することは、ナイジェリアで同様の報道を行っているジャーナリストの声をさらに封じ込めることになる。米国の読者に向けて記事を書いていたビンニヤット氏の拘束は、ナイジェリア政府が米国における報道の自由を制限し、ナイジェリアでの迫害の全容を把握し、適切に対処するため必要とする情報の共有を妨げようとする露骨な試みだ」と批判した。

前出のシア氏は「この事件は、記者を黙らせ、重大な問題から注意をそらすことを目的としている。裁判所は直ちにビンニヤット氏を釈放し、この軽薄で破壊的な告発を取り下げるべきだ」と訴えた。

急増するジャーナリストの拘束

今回のビンニヤット氏の逮捕は、同氏執筆の「エポック・タイムズ」10月29日付掲載記事「In Nigeria, Police Decry Massacres as 'Wicked' but Make No Arrests(仮邦題:警察は虐殺を「悪どい」と断じたが、誰も逮捕せず=ナイジェリア)」に関連しているとみられている。村落襲撃事件をめぐる警察や当局の不対応を描いた記事だ。

ビンニヤット氏の拘束は「エポック・タイムズ」や「サハラ・レポーターズ」など、米拠点メディアの報道に留まり、ナイジェリア国内のメディアではほとんど取り上げられていない。 ナイジェリア国際委員会の事務局長カイル・アブツ氏は、「ほとんどの国内メディアは政府の報復を恐れ、裁判の報道を拒否している」と述べた。

ビンニヤット氏の拘束に関連して、トム・ラントス人権委員会は15日、世界各国のジャーナリストや作家の不当な投獄に関するオンライン報告会を開催した。

報告会では「PENアメリカン・センター」「ジャーナリスト保護委員会(CPJ)」「危険にさらされている学者(Scholars at Risk)」の各団体が調査結果を発表し、当局による不当な投獄について認識を高めた。この3団体は、過去2年間に投獄された記者や作家が急増していることを記録している。

米ニューヨークに本部を置く民間団体CPJは同日、ナイジェリア当局に対して、ビンニヤット氏の釈放とサイバーストーカー法の改正を求めた。