中米ニカラグアが台湾と断交 国交締結国は14カ国に

2021/12/10
更新: 2021/12/10

中米ニカラグアの外務省は9日、台湾との外交関係を断ち、中国と国交を結ぶと発表した。これで台湾と外交関係を結ぶ国は14カ国となった。台湾と国交を結ぶ国が集中する中米・カリブ海地域では、中国共産党による台湾の友好国の切り崩しが進んでおり、台湾は警戒を強めている。

ニカラグアのコリンドレス外相は「中華人民共和国が中国の唯一の合法的な政府であり、台湾は中国の不可分の領土の一部だ」と声明を発表し、1990年から続いた台湾との関係を断った。

これに対し台湾外交部は、ニカラグアの決定に遺憾の意を表明し「長年にわたる緊密な友好関係を無視した」と批判。両国の外交関係を「即時に」終了すると発表した。また、台湾はすべての二国間協力および援助プログラムを停止し、在ニカラグア中華民国大使館と職員、技術スタッフを撤退させる声明を出した。

さらに「台湾は国際社会の責任ある一員として他国と交流し、外交関係を発展させる権利がある」と表明。今後も「堅実な外交」を推進して、国際社会における台湾の地位を確保するために「いかなる努力も惜しまない」と中国の圧力に屈しない姿勢を強調した。

断交決定を受けて米国務省は、ニカラグア政権は自由な選挙で選ばれたわけでなく、決定は民意を反映していないと表明。国務省のプライス報道官は「民主制度、透明性、法による支配を尊重し、国民のために経済的な繁栄を促進する全ての国に対し、台湾との関係強化を呼び掛ける」と台湾に寄り添う姿勢を示した。

リサ・マクレーン下院議員は、ニカラグアが台湾との外交関係を断絶したことを「憂慮すべきことだ」と述べ、米国は台湾に対して「毅然とした態度で臨むよう」ツイッターで呼びかけた。

コロラド州のケン・バック下院議員は、中国共産党政権が台湾を弱体化させるために「積極的にキャンペーンを行っている」と非難し、「引き続き台湾を支持し中国共産党に対抗する」と述べた。

共和党のトム・ティファニー下院議員は、ニカラグアのオルテガ大統領が台湾との関係を断ったことについて、「同国の人々の生活を悪化させるだけだ」とツイッターに投稿し、バイデン大統領に「率先して台湾を承認する」よう求めた。

中国は多額の経済援助を行うなどして、関係国に台湾との断交を迫っている。蔡英文政権が2016年に発足して以降、台湾はニカラグアを含む8カ国と外交関係を失った。ニカラグアの隣国のホンジュラスでも、先月の大統領選挙で中国との国交樹立を公約に掲げてきた野党候補が勝利を確実にし、今後の動向に関心が高まっている。

米国をはじめ国際関係担当。