権力掌握から10年目を迎えた金正恩総書記…残虐行為、核兵器、孤立

2021/12/30
更新: 2021/12/30

10年前に北朝鮮で最高指導者としての地位に就いて以来、金正恩総書記は自国民が継続的に抑圧孤立飢饉に苦しむ状況をよそ目に、核兵器に執拗に固執し国際社会で認識を得ることに執念を燃やしてきた。 

北朝鮮関連アナリスト等の見識によると、核保有大国として国際的に認められることは金総書記が最も渇望する事柄の1つだが、外界との接触がほぼ皆無であり政府の失態と国連制裁を起因として経済低迷に喘ぐ同政権の臣下や国民にとって、こうした姿勢は最悪の政策となり兼ねない。 

フランス通信社が報じたところでは、ランド研究所の金洙政策アナリストは、「金総書記は核兵器と弾道ミサイルで国民を養うことはできないが、政権の政治的存続性を維持することはできる」とし、「そして、これが同書記にとっては何よりも重要なのである」と述べている。 

父に当たる金正日(Kim Jong-il)前最高指導者が2011年12月17日に死去したことで地位を継承した金正恩総書記がその後10年間にわたり披露してきた演出に一貫して見られるのは、同総書記が権力を固めるために強引な措置に頼るという性質である。2013年12月、金総書記は義理の叔父に当たる張成沢(Jang Song-thaek)を国家転覆陰謀行為の罪で処刑した。当時、国防委員会副委員長と朝鮮労働党行政部長を兼任していた張成沢大将は、金正恩体制における実質的なナンバー2と見られていた人物である。

金総書記の異母兄もその残忍な餌食になったと、アナリスト等は考えている。2017年2月13日、異母兄の金正男(Kim Jong-nam)はマレーシアのクアラルンプール国際空港で猛毒の神経剤(VXガス)を噴射されて暗殺された。同暗殺事件の容疑者とされている北朝鮮国籍の男性4人は事件後北朝鮮に帰国しており、世間では金正恩総書記が殺害を命じたと広く信じられている。 

アナリスト等によると、金総書記が権力を掌握して以来、同総書記の命令により数百件に上る殺害事件が発生しており、上記2人の男性の処刑・暗殺事例はそのほんの一例に過ぎない。韓国の情報機関、国家情報院傘下の国家安保戦略研究所(INSS)が発表した2016年の報告書には、金総書記は最高指導者に就いてから5年以内に340人の死刑執行を命じたと記されている。 

過去7年間、金総書記は継続的に核兵器開発を推進してきた。2013年3月31日に開催された朝鮮労働党中央委員会総会で、防衛確保と経済発展を並行して進めるための国の主要イニシアチブとして金総書記は核開発を重視する「並進路線」を発表した。 これが北朝鮮の孤立化を悪化させる起点となった。AP通信の報道では、北朝鮮がこれまでに実施した合計6回の核実験のうちの4回および3回の大陸間弾道ミサイル実験は現在の金政権の下で行われたものである。2017年には、金総書記は米国本土まで到達可能な核ミサイルを保有していると主張していた。 

金総書記は2018年と2019年にドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領と画期的とも思われた米朝首脳会談を行ったが、その後は朝鮮半島の完全非核化を訴える国際社会の要請に反して核兵器の放棄を拒否し続けている。 

AP通信が報じたところでは、韓国統一研究院(KINU)の金泰宇(Kim Taewoo)元所長は、「国際的には、核兵器により金政権の外交的地位が大幅に強化された。国内的にも、国の核兵器開発は現政権の正当性だけでなく不屈の核保有大国構築に向けて最高指導者が努力しているという印象を推進する素晴らしい宣伝要素となる」と話している。 

2006年以降、国連安全保障理事会(国連安保理)は金政権の核・ミサイル活動を要因として北朝鮮に対して9件の主要な制裁決議を採択した。国連安保理は北朝鮮の核・弾道ミサイル活動が既存の国連安保理決議に違反するとして非難し、各決議にはこうした違法な活動を停止することを要請する内容が盛り込まれている。 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック発生後に金総書記が本能的に講じた措置は、自国の孤立化をさらに悪化させる要因となった。金総書記は北朝鮮内のウイルス拡散防止を目的として、北朝鮮最大の貿易相手国である中華人民共和国(中国)をも含めて全土を封鎖した。2021年12月5日のワシントン・ポスト紙では、全土封鎖により「食糧、物資、現金の不足が悪化し、冬に向かう季節の中で最も脆弱な国民が苦難に喘いでいる」と報じている。 

北朝鮮に制裁を課した国連安保理でさえ、北朝鮮国内の状況改善を望んでいる。2021年10月の報告書で、北朝鮮は徐々に国交を開くべきだと訴えたトマス・オヘア・キンタナ(Tomás Ojea Quintana)国連特別報告者は、「国民の食糧確保が深刻な懸念となっており、最も脆弱な児童や高齢者が飢餓の危機に曝されている」と記している。

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