中国版『ファイト・クラブ』、ラストシーンを「当局の勝利」に変更 

2022/01/28
更新: 2022/01/28

中国でこのほど公開された米人気のカルト映画『ファイト・クラブ』(1999年)のエンディングに大きな変更が加えられ、視聴者から失望の声が上がっている。

『ファイト・クラブ』は、デヴィッド・フィンチャー監督が手がけ、エドワード・ノートンとブラッド・ピッドがW主演を務めた。

オリジナル版のエンディングでは、主人公が資本主義の象徴である高層ビル群の爆破計画を遂行し、ヒロインらがその様子を眺める場面で終わる。

中国の動画配信プラットフォーム騰訊視頻(テンセントビデオ)は同映画をストリーミング配信したが、このシーンはカットされた。

その代わりに画面が黒くなり、「警察は、主人公ら犯罪者を全員逮捕し、爆弾の爆発も未然に防いだ」という政府側が勝利を収めたという内容が字幕で流れた。

オリジナル版をすでに見ている多くの中国の映画ファンらは、この真逆に改変された結末に不満や憤慨の声を上げている。

「エンディングをカットしたならまだしも、シナリオまで追加した」とある中国人のネットユーザーは嘆いた。「映画史上最大級の恥辱」と憤慨する視聴者もいる。

エンディングの変更が制作側によるものか、それとも中国政府の指示で行われたものなのかは不明。騰訊視頻はこの件についてコメントしていない。

言論の自由の擁護団体「ペン・アメリカ(PEN America)」は2020年に公開した報告書の中で、米ハリウッドが中国の検閲をクリアし、中国で公開できるように、別バージョンを用意することもあると指摘した。

例えば、台本を変えたり、台湾の旗やウイルスの発生源が中国であることを示すなどのシーンをカットしたり、内容を差し替えたりしている。

(翻訳編集・李凌)

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