中国感染急拡大、共産党幹部ら相次ぎ死亡 「上位1%」の高官も無力感

2022/12/24
更新: 2022/12/24

中共ウイルス(新型コロナ)の感染拡大の勢いは「特権階級」である共産党幹部にも及んでいる。アウトブレイクが発生した北京市内では院内感染も発生し、中国軍御用達の「301病院」では受診者数が平時の10倍を記録した。

米ラジオ・フリー・アジア(RFA)は中国の治安・司法機関の高官に取材した。報道によれば、高官の親族は病院で療養中に感染し、北京のいくつかの高級病院に転院したものの、亡くなった。医師は死亡診断書に「尿道感染症」が原因だと記入したという。

高官によると、北京市の人民解放軍総医院(301病院)の会議記録では、発熱外来の受診者数は平時の10倍とされた。高齢者の重症率は10%を超え、危篤率は約10%、超過死亡率は約5%。新型コロナの感染が主要な原因だという。

「私は社会階層の上位に位置する者として、特殊な地位と極めて大きな権力を持っていると自認してきた。しかし今回の一件で、私は親族を守ることさえできないと思い知らされた。階級ピラミットの上位1%にいる私でもこのような狼狽ぶりだ。それが一般市民となるとなおさらだ」と高官は心中を明らかにした。

また、中国の社会高層にいる人物が死亡したとする報道はいくつか確認されている。

澎湃新聞が19日付で旧国防大学の退職幹部である鞠開氏は北京301病院で死亡した。清華大学の呉冠英教授や中国映画資料館元館長、新華社元編集委員、京劇芸術家ら著名人4人の訃報も伝えられている。

このほか「中国網(チャイナネット)」によると、中国国務院(内閣に相当)の直属機構・国家体育総局の引退幹部である劉吉氏も19日に北京の病院で死亡した。中国共産党が授与する最高栄誉である「共和国勲章」の受章者である張富清氏も20日、湖北省武漢で亡くなった。

清華大学の広報によれば、11月中旬から12月中旬まで計18人の退職した教師や教授が亡くなった。また北京大学でも、65歳以上の教職員18人が亡くなったという。マルクス主義政治経済学の創始者と呼ばれる中国人民大学名誉教授の胡鈞氏も20日、北京で死亡した。

いっぽう、こうした死者らは公式のコロナ死には数えられていない模様。

新型コロナ政策を決める最高決定機関である国務院の「聯防聯控機構」が20日に開いた記者会見で、当局はコロナによる死亡の定義を明らかにした。肺炎または呼吸不全の死亡ケースは新型コロナによる死亡とし、心筋梗塞など他の基礎疾患によって死亡した者は感染者であっても除外しているという。

ロイター通信によると、中国共産党高官の遺体を処理する葬儀場であり北京最大の八宝山葬儀場では、18日時点で1分間に数台の霊柩車が入り、自家用車用の駐車場も満車だったという。21日の報道でも、北京の他の葬儀場も人であふれかえっていたと報じられている。

中国オンラインでは当局の流出文書に注目が集まる。「12月1~20日までの感染者数は2億4800万人で、20日の1日だけで約3700万人が感染した」との国家衛生健康委員会の21日の会議録とされるものだ。記録によれば、人口の半数以上がすでに感染した都市として北京市と四川省を挙げ、河南省、湖北省でもそれぞれ2000万人以上が感染したという。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!