20年大統領選で不正あったか?選挙改革の要否は?…共和・民主党候補者に質問

2023/06/26
更新: 2023/06/26

投票用紙の収集。票の水増し。投票集計機の不正操作。投票用紙の窃盗。特定候補者に対する検閲。これらは、2020年の大統領選挙後にトランプ前大統領が選挙の問題点として提起したことの一部である。

2024年の大統領候補者らにとって選挙の公正性はどれほどの関心事なのか。
エポックタイムズは、両党の主要候補者に質問書を提出し、回答を求めた。

主な質問は次の3点。
・選挙不正はあったと思うか、またあったとしたら2020年大統領選挙の結果に影響を与えたか。
・2024年に向け公正性が担保された選挙のために何をすべきか。
・2024年の選挙結果を受け入れるか。

回答が届いたのは、米国のトランプ前政権で国連大使を務めた共和党のニッキー・ヘイリー氏。ペンス前副大統領とフロリダ州のデサンティス知事の代理人は、これらの質問に関して以前に発表していた見解を紹介してくれた。

民主党のロバート・ケネディ・ジュニア氏やトランプ氏、ティム・スコット上院議員、ビベック・ラマスワミ氏からの回答は本記事掲載までに届いていない。

トランプ氏やスコット氏、ラマスワミ氏、バイデン氏の見解は、メディアのインタビューや公式声明などから収集することができた。

彼らの見解を紹介しよう。

2020年大統領選で不正はあったか

トランプ氏は2020年の大統領選挙の直後、選挙不正があったと大々的に訴えていた。

「不正選挙であり、我々がそれを経験しなければならなかったのは残念だ。我々の国にとって非常に悪いことだ」と5月11日にCNNが開催したタウンホールのイベントで語った。

トランプ氏は、選挙不正が選挙結果に16ポイントの差をもたらしたと指摘。選挙不正の例として、ツイッターでの検閲や「票の水増し」作業の際にカメラに映った「数百万票」を挙げた。

デサンティス氏は5月26日の米MSNニュースのインタビューで、選挙不正は事実としつつも、その主な責任はトランプ氏にあると述べた。

デサンティス氏は、新型コロナウイルス感染症という非常事態で投票用紙の収集が広く実施されるようになったと述べた。

投票用紙の収集とは、政党または非営利団体などの第三者が有権者から投票用紙を回収し、それらの有権者に代わって投票用紙を投票箱に届ける行為である。

投票用紙の収集は多くの州で合法となっているが、不正行為をもたらすと指摘する声もある。

デサンティス氏は「もちろん、それは間違っていると思う」としたうえで、投票用紙の収集の問題や法的な問題に対して「私はこの問題に立ち向かって戦っていただろう」と述べた。

デサンティス氏はまた、政府機関が大手IT企業と結託してバイデン氏に関するネガティブな情報を検閲したとし、これを「選挙妨害」と呼んだ。

「全く不公平だが、それを行っていたのはドナルド・トランプ大統領のFBI(連邦捜査局)とDHS(国土安全保障省)だったということも指摘しておきたい。彼は自身のエージェントをコントロールできなかった」とし、「私の政府の誰かがそんなことをしていたら、翌日にはクビになっていただろう」と述べた。

ペンス氏は2021年3月、米保守系の有力シンクタンク、ヘリテージ財団への寄稿記事で、2020年の大統領選挙について「重大な不正投票と、当局が州選挙法を無視した数多くの事例が目立った選挙」と表現した。

2020年の大統領選挙の公正性について「何百万もの米国人の懸念を私も共有している」とした。

しかし、ペンス氏は上院での選挙結果の認定取り消しを拒否した。

「各州が選挙を認定し、裁判所がそれを検証し、議会が異議申し立てを検討した時点で、私の責務は明らかだと分かった」と7日にCNNが開催したタウンホールのイベントで語っている。

ヘイリー氏、スコット氏、ラマスワミ氏の3人は、選挙不正があったことは事実だが、選挙結果が覆ることはなかったと述べている。

「2020年の選挙で不正はあったが、裁判所も州議会も結果を変えるほどのものだとは認めていない」とヘイリー氏は語った。

スコット氏は、軽微な不正や詐欺の証拠はあったが、不正選挙の証拠は見当たらないと語った。

2021年1月5日に発表した声明では、「今まで、これらの州の選挙結果が覆されるべきことを示す証拠を見つけた司法、裁判官、事実認定者は皆無だ」とした。

ラマスワミ氏も5月19日の米公共ラジオ(NPR)のインタビューでも同様のことを語っている。

「あの選挙に至るまでのソーシャルメディア企業やインターネット企業による情報弾圧には多くの問題がある」と述べた。

そのうえで、「しかし、専門的な意味において、大規模な不正投票とか、集計方法によって選挙結果を変える何かがあったと思いますか。そういうことは考えられない。私はその証拠を見たことがない」とした。

公正な選挙に向けて 制度改革の要否

2020年、選挙不正が指摘されていたなか、バイデン氏は選挙結果を即座に受け入れた。

選挙制度改革については、バイデン氏は投票に関する規制を設ける法律の制定などについて懸念している。

バイデン氏は、2022年1月にジョージア州のアトランタ大学で「ジョージア州共和党、州議会は現在、政党関係者、つまりその取り巻きが地方の選挙管理人を容易に解任できる権限を自らに与えた」と懸念を示した。

また郵便や投票ボックスによる投票を禁止する法律が制定され、多くの市民の投票する機会を奪う可能性があるとした。

独立系シンクタンク、ブレナン・センター・フォー・ジャスティスによれば、今年23の州で、郵便投票や不在者投票の取得に新たな規制を設ける法案が80ほど提出されたという。

有権者の投票に関するトランプ氏の考えは、バイデン氏とは正反対だ。

トランプ氏は、「有権者IDを持つべきだ。一日限りの選挙を行うべきだ。郵送投票ではなく、紙の投票用紙を使うべきだ」と述べ、期日前投票および電子投票機の廃止を訴えた。期日前投票を廃止した場合、郵便による不在者投票を導入してもよいかどうかについては言及しなかった。

デサンティス氏によると、フロリダ州は開票作業を容易にするための選挙部門への個人寄付とともに、投票用紙の収集行為を禁止しているという。

選挙部門への寄付は、メタ社のマーク・ザッカーバーグCEOが設立した非営利団体が、47州の2500の選挙事務所に約3億5千万ドルを寄付したことで有名になった。

郵便投票については、デサンティス氏は支持している。「郵便投票をするなと国民に言うのは大きな間違いだと思う」と語った。

デサンティス氏が19ポイントの差をつけて再選を果たした2022年の知事選では、期日前・郵便投票の利用者が過去最多だった。

「そのほとんどが郵便による不在者投票を選んだ。それが彼らの選択だ。選挙当日にしか投票できないと言えば、投票に行かなかった人もいるだろう」

ペンス氏は選挙改革について、全国規模の改革の必要性は強調せず、具体的な改革は州議会に委ねるべきとした。ヘリテージ財団への寄稿記事で「選挙改革は国家的責務だが、憲法の下では州レベルで取り組まなければならない」と述べた。

ペンス氏は、2021年に提案された、郵便投票、期日前投票、即日有権者登録、オンライン有権者登録などを各州に強制する連邦法が、選挙の公正性を損なうと断じた。

ヘイリー氏は、いくつかの選挙規制は国家レベルで採用されるべきだと考えていると述べた。

エポックタイムズに対して、「選挙の公正性を確保することは、我が国の民主主義にとって依然として非常に重要だ」と語った。

「私は知事として、選挙の尊厳を守るため、サウスカロライナ州で有権者IDの取得を義務化した。それを全国的にやらなければならない」との考えを述べた。

スコット氏は2021年1月、2020年の選挙問題を調査し、州議会に提案する超党派委員会を設置する法案を提出した。

ラマスワミ氏は、選挙権に関する斬新なアイデアを提案している。軍隊でフルタイムで公務に就いている者や緊急対応者、帰化市民に義務付けられているのと同様の公民権試験に合格した者は例外として、選挙権年齢を25歳に引き上げるというものだ。

ラマスワミ氏の選挙改革案については、若年層の支持率が高い民主党候補へのけん制だと非難する声もある。

2024年の選挙結果を受け入れるか

「2024年の大統領選挙の結果を受け入れることを約束しますか」

この質問に対し、エポックタイムズに回答した候補者はただ一人だった。

ヘイリー氏はエポックタイムズに対し、受け入れると語った。

トランプ氏は、公式声明で「正当な選挙だと思えば、必ず受け入れる」とし、「私はそれが非常に公正なものになることを望んでいる。選挙が公正であれば、我々は選挙に勝利できる」と語っている。

2024年大統領選への懸念

不正選挙が大統領選の結果に大きな影響を与えたと主張する候補者は依然トランプ氏だけである。

しかし、共和党の候補者の多くは、各州が認めているいくつかの投票に関する慣行が悪用され、個人が違法に投票したり、不在者投票や郵送投票者の投票用紙が不正利用される可能性について懸念している。

バイデン氏は、大半の民主党議員同様、州議会が法的手段で有権者の投票を制限することを懸念している。

2016年の大統領選でトランプ氏が勝利した5つの激戦州(ウィスコンシン、ミシガン、ペンシルバニア、ジョージア、アリゾナ)は、2020年にはバイデン氏へと気移りした。

ヘリテージ財団のデータによると、これら5つの州では2020年の選挙で16人が不正投票を行ったとして有罪判決を受けた。

エポックタイムズの政治記者
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