若きホワイトハッカーが秘密ネットワークにハッキング 小児性犯罪者を大量摘発  

2023/07/03
更新: 2023/07/03

一般的にハッカーといえば、「彼らは暗い地下室で、あなたの銀行口座の暗証番号を解読しようとする、フードをかぶったサイバー犯罪者」というイメージを持っているかもしれない。しかし、「0day(ゼロデイ)」とも呼ばれるライアン・モンゴメリーさんは違う。彼はいわゆるホワイトハッカーである。

ペンシルベニア州出身の現在29歳の天才サイバー少年は、ネット上でいたずらを起こしていたことから、当局による小児性犯罪ネットワークの解体を手助けするまでになった。彼が影の世界から光へと抜け出す大きなきっかけとなったのは、2020年に苦しんでいる友人から受け取った共有したメールだった。 

当時、インターネットは現在と比べて大きく異なっていた。「ググった(Google で検索する)」だけで、今日のように「ゼロからヒーローになる」サイバー・スキルをマスターすることはできなかった。

モンゴメリーさんは、自身がサイバー・スキルをマスターできた理由について、チャットルームでの知り合いに「質問すること、そしてただ質問するだけでなく、適切な質問をすること」とエポックタイムズに語った。また、彼は「何かを分解して元に戻し、想定外のことをしたいというハッカー魂」を持っていたという。

彼の心には善良と正義があった。モンゴメリーさんは、培ったサイバー・スキルを活かして、企業をハッキングから守るために協力者とともにサイバーセキュリティ会社を設立する予定だった。

しかし、2020年末に友人が共有したメールを見たとき、彼の脳裏にスイッチが入った。そして強い情熱をもって、子供たちを食い物にしている小児性犯罪のネットワークを密かに追うことにした。

衝撃のサイト発見から逮捕まで

モンゴメリさんはメールの内容を見たとき、あまりのショックで胃が痛くなった。メールには、「どうも!ここは少女たちの動画を共有し、どのように少女たちを強姦し虐待したかについて語り合う小児性愛者(ペドファイル)のためのサイトです」と書かれていた。

モンゴメリーさんは、そのとき「彼のホームページの記事を読んで気分が悪くなった。この人たち全員を見つける必要がある!」と思った。メールに「Rapey.co 」(Rapeyは強姦の隠語)というウェブサイトへのリンクが添付されていた。

モンゴメリーさんが目にしたサイトには、水着を着用した子供3人のスクリーンショットがあり、わいせつな文言が並んでいた。「誰がこの小さな淫乱女たちを輪姦したい?」「自分で選んでください」というスレッドに「真ん中の子が気に入った」というコメントが添えられていた。「彼女に悲鳴を上げさせる」「私の小さな16歳を妊娠させたい人が必要です」などの性的虐待をそそのかすコメントもあった。

モンゴメリさんは自分に持てる最も有効な方法で、即座に行動を起こそうと思った。友人の家を出て、彼はウェブサイトをハッキングし、大量にデータを流出させる方法を見つけ、ユーザー名、犯罪につながるスレッド、わいせつ行為をそそのかすコメントを収集した。

毎日、彼は有効性の高い証拠を大量に集めた。彼は、それが違法情報であることを分かっていたため、サイトから写真などをダウンロードしなかった。

大紀元写真
ライアン・モンゴメリーさん、「0day(ゼロデイ)」としても知られる。(ライアン・モンゴメリさん提供)

この証拠を武器に、彼は児童ポルノのオンライン犯罪用ホットライン「サイバー・チップライン」を通じて全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)に通報し、集めた違法情報の証拠の山を提出した。モンゴメリさんは「彼らからは何も連絡が来ていない」とエポックタイムズに語ったが、最近プレスリリースで明らかになったことは「皮肉なこと」だと感じているという。モンゴメリさんのハッキング直後に逮捕者が出た。

2023年1月、米国土安全保障省(DHS)は「2020年9~12月にかけて、クリストファー・ウィリアム・キューナー(38歳)は違法サイト「Rapey.co」の主要メンバーであった 」とのプレスリリースを発表した。

「キューナーは、未成年の少女たちに、自分とウェブサイトの他のメンバーのために、児童性的虐待の素材を作るよう勧誘し、そそのかした。……キューナーは4月25日に判決を受けると、最低20年の禁固刑が下される」と書かれていた。

他の3人、ジェイコブ・ロイス・マリンズ(20歳)、カイル・ウィリアム・ライシア(43歳)、マシュー・マーティン(25歳)も、児童性的虐待サイトに関与していたことを認めた。

違法サイト「Rapey.co」への追跡調査により、モンゴメリーさんは自身の更に正義感が高まったという。彼は友人と共同で「病人」を摘発するための組織を設立し、ネット上で「病人」を追及し続けた。やがて、彼の活動はネット上で話題になったという。

インスタグラムで注目された後、協力したいと名乗り出る人から複数連絡を受けた。しかし不可思議なことに、NBCからABC、NewsmaxからCNN、FOXニュースに至るまで、モンゴメリーさんが主要な報道機関すべてに働きかけたにもかかわらず、メディアはこの話に触れず、またジャーナリストなども取り合ってくれなかったという。関心を持ったのは、報道や情報の不正を調査するNGO組織「プロジェクト・ベリタス」だけだった。

「これまでに約500人を特定した」とモンゴメリーさんは述べた。特定するための方法については、「話すことを許可されていない」と明言を避けた。

「Rapey.co」へのハッキングから間もなく、モンゴメリーさんは、同サイトの運営者ネイサン・ラーソンが逮捕されたことを知った。「待ち合わせ場所にいた12歳の少女を誘拐し、強姦して逮捕された」。ラーソンは2度下院議員に立候補し、児童ポルノの合法化を主張した有名な政治家だったため、この件はニュースとして報道されたという。彼はその後、刑務所で亡くなった。

モンゴメリーさんはラーソンの逮捕で更に拍車がかかった。「私が(NCMECに)通報した瞬間に彼を止められていたら、(少女12歳のレイプ事件は)決して起こらなかったはずだ」と彼は思った。「このサイトに潜む他の多くのユーザーにも何かあるのではないか」

「犯罪者たちよ、迎えに来たぞ」

ラーソンと12歳の被害者のことを知ったモンゴメリーさんは、社会の暗部で活動するこれらの卑劣なネットワークを摘発する特定の自主防犯活動団体と協力するよう促された。

おとり捜査で性犯罪者を逮捕する米国のリアリティ番組「To Catch a Predator」と同様、モンゴメリーさんらと自主防犯活動団体は小児性愛者を逮捕するため、子供のふりをするおとり役を雇って調査を行っている。 

「私が(自主防犯活動団体の支援に)携わるようになったのは、もっと多くの人たちを刑務所に入れたいと思ったからだ」とモンゴメリーさんは語った。

自主防犯活動団体と協力した理由について、「自分の活動は警察などから何のサポートも受けられなかったと感じていた。しかし、できるだけ多くの人を助けたいと思った」

米国のポッドキャスト番組「Shawn Ryan Show 」で、モンゴメリーさんはこれらのサイトの驚異の実態について語った。「チャットルームを開いて、私は13歳です。こんにちは、と言っただけで、チャットルームには、なんと14件くらいメッセージがあった」「そのうちの1人は40代の男性だった」という。

自主防犯活動団体の弱点は、ユーザー名を実際の人物名、電話番号、勤務先などの個人情報と結びつけることができないことだった。「そこに私のスキルが活かされたのです」とモンゴメリさんは語った。その弱点をカバーするように、モンゴメリーさんが「私はその人物に関する情報、その人物の勤務先や家族、その他の情報を一緒に(自主防犯活動団体に)送っていた」という。

過去3年間、モンゴメリーさんは「捕食者たち」とのサイバー戦争を繰り広げており、この記事でモンゴメリーさんが語ったことよりもはるかに悪辣な事態を目の当たりにしてきたという。しかし、「神は私にその能力があることを知っておられたのだと思う」「そして、それを我慢するのに苦労したけれど、私はそれをやり遂げることができる」と語った。

しかし、サイバー戦争は「まだ終わったわけではない」という。モンゴメリーさんは自身の活動のバイタリティーについて、強力な支援に助けられていると述べた。「僕は神への強い信仰も持っているから、すぐにやめるつもりはないよ。もしあなたが捕食者や小児性愛者なら、私はあなたを迎えに行く」と語った。

カナダのカルガリーに拠点を置くライター兼編集者。主に文化、人間の興味、トレンドのニュースについて執筆。
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