プリンストン大学、MITの科学者2人がEPAによる気候規制は「デマ」に基づいていると発言(3)

2023/08/31
更新: 2023/09/01

反対意見の代償

コーネル大学が引用した、出版文献のコンセンサスに関して、一部の専門家は、「学術出版においては、地球温暖化の説に疑問を呈する投稿を日常的に拒否している」と反論している。

「私は幸運だった。退職が近づく頃になって、このことに抵抗し始めたからだ」とプリンストン大学で物理学を教えているウィリアム・ハッパー氏は語った。彼はその時点で、既にプリンストン大学の終身教授、科学アカデミー会員、米国エネルギー省のエネルギー研究部長としての地位を確立していた。

「私がもっと若かったら、私に終身在職権を与えるようなことはなかっただろうし、私の論文を出版させなかっただろう。今なら、私の論文を出版させなくすることもできようが、自分にはすでに地位があるので、問題はない。でも、もし自分がもっと若くて、成し遂げようとするキャリアがあれば、それはとても重要なことになるだろう」

気候学者のジュディス・カリー氏は、ジョン・ストーセルとのインタビューで、ナラティブに矛盾する代償を払ったと述べ、地球温暖化に関する合意を「作られた合意」だと呼んだ。

ジョージア工科大学 地球大気科学部の元学部長であるカリー女史は、以前、ハリケーンの激しさが増していると主張する研究を発表した。

「その後、私は環境擁護団体や警鐘を鳴らす人々に採用され、まるでロックスターのように扱われた。私は政治家たちと会談したり、多くのメディアの注目を集めたりするために、あちこちに飛び回った」

その時、数人の研究者が、彼女の発見に疑問を呈した。彼女は彼らの主張を調査し、彼女に対する批判が正しいと結論付けた。

「データの一部は不正なもので、自然による気候変動だった」「その事実を公表したところ、周りから敬遠され、学術界から追い出された」と彼女は語った。

マサチューセッツ工科大学(MIT)大気科学の名誉教授であるリチャード・リンゼン氏も気候のナラティブに疑問を持ち始めたとき、同様の経験をしたそうだ。

「資金提供も出版もほぼ不可能になった。そして、自分は気象学で最も著名な椅子、MITのスローン気象学教授職に就いていた」と彼は語った。

ノーベル賞を受賞した物理学者ジョン・クラウザー氏は、「自分も7月25日に国際通貨基金(IMF)で予定されていた気候に関する講演を突然キャンセルされた」と大紀元に語った。

クラウザー氏は、クォンタム・コリア2023の講演で「気候変動は危機ではない」と述べていた。また、「気候は自己調整プロセスであり、気温が上昇するとより多くの雲が形成され、その結果、補償的な冷却効果が生じる。また、大気中のCO2増加には同意するものの、地球温暖化に対するCO2の影響は、自然の雲の循環に圧倒されている」と主張していた。

IMFでの講演日の数日前に、クラウザー氏はIMF独立評価局のパブロ・モレノ局長から、「この講演はキャンセルされるだろう」という電子メールを受け取った。このイベントを調整していたアシスタントは、クラウザー氏に「私がこれを手配したとき、局長はとても喜んでくれたが、明らかに状況は変わった」という手紙を送った。

気候変動に関するIMFの政策によれば、「大規模排出国は地球温暖化を2℃以下に抑える努力を行い、そのため2030年までには炭素税を導入し、税額をCO2、1トン当たり75ドルに速やかに引き上げる必要がある」としている。

気候マネーマシン

「地球温暖化説を裏付けるために、なぜデータを検閲・改変・データのつまみ食いをする必要があるのか」と問われ、リンゼン氏は「それはデマだから」と答えた。

クラウザー氏は、気候変動に関するコンセンサスについて「私たちは完全に疑似科学に満ち溢れている」と語った。

ハッパー氏は、「人口の大部分が洗脳されているので、地球存続の脅威であると考えている」と語る。

「私は人々を責めない。彼らには騙されていることを知る背景がないのであり、実際、彼らは騙されているのだ」

2022年9月、世界銀行は「各国の気候変動対策への支援として、同会計年度に過去最高となる317億ドルを支払った」と発表した。これは前年度の266億ドルから19%増加した。

また、ロイター通信によると、米国においては、今後の10年間で気候変動と戦うために約5000億ドルを支出すると予想されており、その内訳は、インフレ抑制法から3620億ドル、インフラ法から980億ドル、CHIPS法から540億ドルであるということだ。

「気候変動による緊急事態という話が突然消失してしまったら、持続可能なエネルギー、無価値な風車や太陽光パネルはどうなるのだろうか」とハッパー氏は問いかけた。

「実際のところ、風車や太陽光パネルは優れたテクノロジーではなく、良いことよりも害の方がはるかに大きい。それでも、そこからお金を稼いでいる沢山の人たちがいる」

多くの投資家たち、特に世界最大の資産運用会社であるブラックロックは、「グリーン」エネルギーへの投資が利益を生む理由として、政府の規制と補助金を挙げている。

気候変動を研究するための助成金は、米国環境保護庁(EPA)、国立環境衛生科学研究所、米国海洋大気庁(NOAA)などの多くの政府機関のほか、ブルームバーグ慈善活動やマッカーサー財団などの非営利団体によって提供され、2014年以降、4億5800万ドルが支払われている。

「1988年から1990年まで遡ると、資金は15倍に増え、まったく新しいコミュニティが作られた」とリンゼン氏は語った。

「1990年当時、この分野は小さかった。MITの教員で気候科学者と名乗る者は一人もいなかった」

「1996年になると誰もが気候科学者になっていた。ゴキブリを研究していて、助成金に『ゴキブリと気候』と書けば、あなたは気候学者になれた」とリンゼン氏は語った。

両教授のコメントへの回答を求められたEPAの広報担当者は、「EPAは基準案の最終決定に向けて、受け取ったすべてのコメントを検討する」と述べた。

(翻訳・大室誠)

(完)

経済記者、映画プロデューサー。ウォール街出身の銀行家としての経歴を持つ。2008年に、米国の住宅ローン金融システムの崩壊を描いたドキュメンタリー『We All Fall Down: The American Mortgage Crisis』の脚本・製作を担当。ESG業界を調査した最新作『影の政府(The Shadow State)』では、メインパーソナリティーを務めた。
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