「義のない国とは付き合うな」 日本のあるべき対中国姿勢とは

2023/08/31
更新: 2023/08/31

日中関係は今、かつてないほどまでに冷え込んでいる。処理水をめぐる中国当局の常軌を逸した行動は日本の国益を損ない、共産主義政権の醜悪な実態を自ら白日の下に晒している。高市早苗経済安保相は29日の会見で、WTO提訴などの対抗措置を検討していく考えを示した。

「刑務所の中に行って、あるいはヤクザが支配している国に行って商売するものなら、その時は儲かるかもしれないが、後で必ずしっぺ返しを喰らう」。こう語るのはシンクタンク「国家ビジョン研究会」代表理事の無盡滋氏だ。幕末の儒学者・横井小楠の言葉「天地の間には道理がある。仁義の国は受け入れ、不信不義の国は天地神明とともにこれを威罰す」を引用し、「多少儲かっても、正義がない国とは付き合うな」と指摘した。

無盡氏は「中国はある意味では犯罪国家で、国が全体が刑務所のような形になっている」と指摘する。日本に対するレアアースの禁輸措置や、台湾のマンゴーに対する輸入規制などを挙げ、「付き合えばむしり取られるに決まっている。目先では儲かっていても、絶対付き合わない方がいい」と語った。

中国は2001年にWTOに加盟したが、知的財産の侵害や国営企業に対する補助金など、国際的な商慣習に違反する行為が多々見られている。その原因は共産主義体制そのものであると無盡氏は考える。

「中国は通常の資本主義国と根本的に異なる。習近平氏がEV(電気自動車)を開発せよと命じれば否応なしに国内産業は開発しなければならない。共産主義体制であるため、コストを度外視することで市場を独占し、赤字でも欧米や日本のメーカーを追い落とすことができる。そのようなやり方ではとてもお付き合いすることはできない」

米国では2016年にトランプ政権が登場して以来、中国共産党の対策に本腰を入れている。サプライチェーンから中国を外し、経済的なデカップリングを進めている。いっぽう、様々な経済的利益が絡まり、「中国大好き人間」が多い日本では、G7サミットで提唱された「デリスキング(リスク軽減)」が現実的ではないかと無盡氏は提言した。

中国でビジネスを行う人は、臓器狩りや拷問といった中国共産党の人権侵害を多かれ少なかれ耳にしているとし、中国からの撤退を勧められても留まる人については「自業自得ではないか」と一蹴した。

今後のビジョンはどうなるのか。無盡氏は、要となるのは中国の体制に変化が生じた時だとし、「中国が健全な国になり、中国国民が喜んで生活できるような世界が来たならば、お付き合いしてもいいと思う。しかし今の体制が続く限り、まともな商売などできないのだ」と強調した。

政治・安全保障担当記者。金融機関勤務を経て、エポックタイムズに入社。社会問題や国際報道も取り扱う。閣僚経験者や国会議員、学者、軍人、インフルエンサー、民主活動家などに対する取材経験を持つ。