【寄稿】処理水問題、国内外の「風評加害者」に毅然とした対応を 長尾敬氏

2023/09/01
更新: 2023/09/01

皆さんご承知の通り政府が処理水の海洋放出を実施しています。科学的にも基準値を大幅に下回るトリチウム放出量であるにも関わらず、「汚染水」という言葉を使い、風評被害を拡大している「風評加害者」達の情報発信が後を絶ちません。

科学的根拠に立つならば、中国は日本の6.5倍、韓国は14倍、英国は14.7倍、カナダは54倍、そしてフランスは454.5倍のトリチウムを放出しているのです。欧米、中国共産党、そして、韓国野党等から「汚染水呼ばわりされる筋合いはない」のです。 自分たちの方が、大量のトリチウム放出を行っていながら、 日本の海洋放出を危険だと言える筈もありません。さらに日本の処理水は太平洋に放出されます。小学生の地理で習った海流の流れを理解すれば、日本海に処理、水が流れ込む筈もありません。

中国は日本の水産物を全面禁輸することを決定しました。日本の水産物を全面禁輸するのであれば、日本周辺での漁業も全面禁止、特に尖閣諸島には来ないように指示を出すべきでありますが、ここでも、中国共産党は、矛盾に満ち満ちた行為を嫌がらせのように続けています。 いや、間違いなく嫌がらせです。 中国の日本の団体旅行客が増加する状況下にあって、むしろお断りする方が、筋が通っています。 中国政府が禁輸している水産物をわざわざ日本に行って食べることもないわけですから、我々のほうも中国の方には日本の水産物をレストランなどで遠慮していただく必要があるのだと思います。

相変わらず弱腰の日本政府ですが、林外務大臣が中国との太いパイプをお持ちであるにも関わらず、二階俊博元自民党幹事長にこの急場を凌ぐべく、訪中依頼をしたとの報道があります。総理や外務大臣が、あらゆる手段を尽くした上で問題が解決されないならばまだしも、言うべきことを毅然と言う勇気もなく、誰かに丸投げとは、まさに政府のガバナンスが崩壊していると言わざるを得ません。

そんな中、海洋放出などの「あらぬ抗議」を受けるため、中国政府に呼び付けられた垂秀夫中国日本大使は「科学的観点から、高い透明性をもって、誠実かつ丁寧に説明を続けてきた」と反論し、中国側の抗議に対し「科学的根拠に基づかない主張を行っていることは残念だ」と述べつつ「科学的根拠に基づかない措置は受け入れられない」と強調しました。更にEU諸国などが輸入規制を撤廃したことに触れ、中国のみが「流れに逆行している」と指摘したのです。まさに「日本の侍」ここにあり。外務大臣を代わっていただきたいような印象を持ったのは私だけではないと思います。

タチが悪いのは、中国共産党だけではありません。日本国内の特定の政党や複数の国会議員、そしてその発言に呼応するメディアは、日本国内で風評被害を増加させています。 漁業関係者等は、風評被害が恐ろしいと主張しています。風評被害を増加させる連中は、まさに「風評加害者」、「汚染水、汚染水」と連呼する人物は、漁業関係者から訴えられてもおかしくないと思うのです。あまりにも度が過ぎる「風評加害行動」に対しては、被害を受けた方々が毅然と刑事告訴するなどの対応も必要となってきます。 しかしメディアは、 風評加害行動について厳しい指摘をしません。同じ穴のムジナなのでしょうか?

風評加害者たちはその行動を止める事はないでしょう。今こそ私たちは腹を括って中国と一線を画し、価値観を共有できる国々と水産物の取引を模索していくことが必要だと思います。 変わらぬものは変わりません。科学的根拠のない嫌がらせは無視し、新たな可能性を求めて行くことが肝要であると思います。

長尾敬
前衆議院議員、元内閣府大臣政務官。立命館大学卒業後、明治生命(現・明治安田生命)保険相互会社に入社。平成21年に初当選し、衆議院議員を3期務める。著書に『永田町中国代理人』(産経新聞出版)、『シン・ニッポン2.0 ふたりが教えるヒミツの日本』(三交社、共著)、『マスコミと政治家が隠蔽する中国』(眞人堂)。
関連特集: オピニオン