2023年の世界の自然災害 2500億ドルの経済損失=ミュンヘン再保険

2024/01/12
更新: 2024/01/11

ドイツの再保険大手ミュンヘン再保険が、1月9日に発表した日付報告書によると、2023年に発生した自然災害が全世界で約2500億ドル(約36兆1585億円)の経済損失を引き起こし、昨年支払われた保険金総額は950億ドル(約13兆8103億円)(2022年の1250億ドルから減少)だった。

甚大だった雷雨災害

2023年、北米と欧州における雷雨の被害はかつてないほど甚大だった。損害総額は760億米ドル(約10兆8493億円)、保険で補填された損害額は580億米ドル(約8兆3887億円)だった。

特に雷雨の被害は大きく、北米では、雷雨により約 660 億米ドル(約9兆5458億円)の資産が破壊され、そのうち 500 億米ドル(約7兆2711億円)の資産は保険で補填、欧州では、雷雨による損害は 100 億米ドル(約1兆4541億円)に達し、うち 80 億米ドル(約1兆1570億円)が保険でカバーされた。

「ミュンヘン再保険のマネージング・ディレクターであるトーマス・ブルンク氏は、 「2023 年も自然災害による保険損害が極めて増大した年だった。包括的なデータとリスクの変化を深く理解することが、自然災害保険を設計する上で重要な要素であることに変わりはない」と述べた。

報告書によると、これほどの雷雨による損害は欧米では前例がないことだ。同社は、雷雨による損害統計は今後数年間は増加傾向にあると警告している。

総被害額で見ると、2023年に2番目に被害の大きかった自然災害は台風トクスリだった。2023年7月、台風トクスリはフィリピンの海岸線を通過した後、中国本土の福建省晋江市に上陸し、風速は時速約180キロで、非常に激しい雨をもたらし、壊滅的な洪水を引き起こした。

台風トクスリが中国を襲った際、一部地域では1日の降水量は600ミリに達した。これは中国における記録上最大の日降水量だ。トクスリによる総損失は約250億ドル(約3兆5847億円)に上ったと報告された。

一方、2023年は観測史上最も暑い年だった。多くの地域で記録が更新された。欧州南西部(4月)とアルゼンチン(9月)では気温は40℃を超えた。中国北西部では7月に気温が50℃を超え、米国アリゾナ州では夜間の気温が32℃に達した。

トルコ・シリア地震

昨年の自然災害による死者数は7万4千人に上り、過去5年間の年間平均1万人を大きく上回ったとミュンヘン再保険が発表した。トルコとシリアで発生した地震は、今年最も壊滅的な被害をもたらした人道的災害だった。

報告書では、2023年の地震による死者数は約6万3千人(その年の死者数の85%)で、この数字は2010年以降のどの時期よりも高いと書かれている。

ミュンヘン再保険によれば、昨年2月初旬にトルコとシリアを襲った一連の地震は、昨年の自然災害の中で最も壊滅的なもので、経済損失総額は約500億米ドル(約7兆2711億円)に上った。

英国赤十字によると、これらの強力な地震により、トルコとシリアでは5万5千人以上が死亡し、さらに10万人が負傷したという。

2024年1月1日、日本も地震に見舞われたが、ミュンヘン再保険の専門家によれば、日本の地震は、同程度のマグニチュードで、人口密集地で発生したが、当時報じられた死亡者数は160人ぐらいだった。トルコ・シリア地震との被害は全く同じ規模ではない。

CNBCの報道によると、ミュンヘン再保険のチーフ気候・地球科学者であるエルンスト・ラウチ氏は、「非常に異なる数字」だと述べた。

「今日入手した情報に基づいて、明らかに(日本の)建築基準と建物の地震の荷重に耐える能力は、地震のリスクに対してより良い準備ができていると我々は評価している」

ミュンヘン再保険のマネージング・ディレクターであるトーマス・ブルンク氏は、「今年の壊滅的な地震による死者数は、警鐘を鳴らしている。 人々をより確実に守るために、建築工法に調整を加えなければならない」と指摘した。

李言
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