焦点:中国の高齢化、新たな経済成長モデルへの転換に暗雲

2024/01/20
更新: 2024/01/20

[香港 18日 ロイター] – 中国の高齢化は国内消費の拡大と膨れ上がる債務の抑制という政府の目標を脅かし、長期的な経済成長見通しに深刻な課題を突きつけている。

2023年の出生率が過去最低となり、新型コロナウイルスによる死亡が相次いだ結果、2年連続で人口が減少。労働人口も大幅に減ることなどにより、政策当局者が懸念する構造的不均衡が悪化する。

中国経済に占める家計消費の割合はすでに世界で最も低い水準にあるほか、年金や高齢者福祉を担う地方政府の多くは数十年にわたる信用による投資主導型成長の結果、多額の債務を抱えている。

ビクトリア大学(メルボルン)政策研究センターのシニアリサーチフェロー、シウジェン・ペン氏は「中国の年齢構成の変化は経済成長を減速させるだろう」と述べた。

今後10年間では、現在50─60歳の約3億人(中国最大の年齢層集団で米国のほぼ全人口に匹敵)が退職する見込みだ。ただ、中国科学院によると、35年までに年金制度が資金不足に陥ると予想されている。 

<低い定年>

中国は定年が世界で最も低い国の一つであり、男性は60歳、ホワイトカラーの女性は55歳、工場で働く女性は50歳となっている。今年は過去最高の2800万人がリタイアする予定だ。

無職のリー・ジューリンさん(50)は、国有企業でキャリアを積んだ夫が27年にリタイアした後、月約5000─7000元(697─975ドル)の年金だけに頼ることに不安を感じている。

リーさんは一人娘の「負担を減らそう」と出費を減らすなど余念がない。「娘が結婚すれば自分の家族を養うだけでなく、(夫婦双方の父母)4人の高齢者の面倒を見ることになる。それがどんなに大変なことか想像もできない」と語る。

中国社会は伝統的に、親が年をとっても子どもが経済的に支え、同居して介護することを期待してきた。

しかし、多くの欧米諸国と同様、急速な都市化によって若者は大都市に移り住み、親元を離れるようになった。自身や政府の給付に頼る高齢者が増えている。

米ウィスコンシン大学マディソン校の人口統計学者、イー・フーシェン氏は、20年には1人の退職者を支える労働者が5人いたが、35年には2.4人、50年には1.6人にまで減少すると予測。「中国の年金危機は人道的大惨事に発展する」と述べた。

日本政府によると、同国ではこの比率が22年に2対1で、70年には1.3対1になると予測されている。しかし、日本は高齢化が加速する以前から高所得国だった。  

<消費者の高齢化>

中国第2の年齢層集団である30─49歳の約2億3000万人は、住宅や自動車を購入できるほどキャリアを積み、子どもの教育に出費し始める消費の最盛期を迎えている。

この層が50歳代に達すると、子どもは就学を終え、自分で収入を得るようになるため、国内消費への参加は少なくなると予想される。

将来的にこの層に代わることになる現在の20歳代の人口は飢饉(ききん)があった1950年代以降で最も少なくなっている。1980年から2015年までの一人っ子政策の結果だ。

マッコーリーの中国担当チーフエコノミスト、ラリー・フー氏は「日本の経験は生産年齢人口の割合が減少するにつれて住宅需要も減少することを示している」と述べた。

<生産性鈍化>

人口統計学者によれば、どの経済体でも子どもの数が域内消費と直接相関しているという。

前出のペン氏は国内市場の縮小が中国の輸出依存度を高めるだろうと話す。中国はすでに信用フローを不動産業から製造業へと切り替えている。

ただ同氏は、労働人口の高齢化によって「イノベーションを起こすインセンティブが低下し、生産性の向上は速まるどころか鈍化している」と指摘する。

Reuters
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