<独占>「中国株式市場から離れよ」元上海証券アナリストが助言

2024/02/24
更新: 2024/02/24

上海株式市場は約5年ぶりの安値まで下落し、株主は悲嘆に暮れ、資本流出も記録的な数字を示す中国経済。中国共産党は国有ファンドに介入させ、一時的に株価を回復させたが、いつまでもつのか。

大紀元姉妹メディアの新唐人テレビは、元上海証券のシニア・アナリストである張盛利氏を米国で独占取材した。「中国の株式市場は、用意周到な詐欺だ」と述べ、はやく離れるようにと警告する。

中国の資本市場において、中国共産党(中共)、ファンド会社、証券部門当局が協力し、複雑なメカニズムを駆使して個人投資家から不公平に利益を引き出している実態が、張氏の分析から浮かび上がる。

声の大きな中高年…

張氏によれば、中国では、証券部門の責任者を「ボス」、ファンド会社は通常 「バンカー 」と呼ばれる。双方は私的に協力関係にあり、迅速かつ大規模な売買操作が可能となっている。証券会社の経営陣や大口投資家は、インサイダー情報を得ることによって莫大な利益を上げることができるが、一方で、個人投資家は大きな損失を被ることになる。

まずはメディアを使った情報操作だ。中共はメディアやビジネス部門を通じて情報を流し、最初は投資家に利益をもたらすように見せかける。株価が底値に近づくと、専門家をメディアに登場させて市場の底値にはまだ達していないと「買い」を進め投資家を欺き、ファンド会社やブックメーカーが低価格で株を購入できるように操作する。

一般投資家は「買い」しか行えない、あるいはそうせざるを得ない状況にある。張氏の分析によれば、多くの株主は「ロング」すなわち株を買って保有する戦略しか知らない。これは、株価が上昇した時にのみ利益を得ることができるという意味だ。一方で、株式市場では株価の下落を予測して利益を得る「ショート」すなわち空売りという戦略も存在するが、これに関する知識や機会が一般投資家には十分に提供されていない。

当局は一般投資家の空売り手段を塞ごうともしている。株価指数オプションの取引手数料を値上げした。当初の手数料は40元(90円)から50元(100円)程度だったが、その後900(1万円9千円)元程度に引き上げたのだ。 一般投資家はコストが高すぎて諦め、資金力のある機関投資家だけが空売り可能となった。 

そして、とても直接的な手法だが、証券部門にいる声の大きな中高年の存在があるという。張氏によれば、彼らはまるで内部情報に詳しいかのような振る舞い、錯覚を投資家に与えている。「最近、どの銘柄が好調だったか、どんな良いニュースがあったかなどの情報を広げている」

声の大きな中高年は実際、証券部門関係者だという。これを信じた投資家は徐々に投資を増やしていき、漁のように魚がたくさんひっかかれば空売り可能なファンド会社が売却を行い、株価が下落する。「買い」しかできない一般投資家は大きな損失を被るのだ。

中国株暴落の根源

中国株の暴落を受けて、中国国家安全部は対策を講じている。経済安全を国家安全の重要な部分と位置づけ、否定的な言説を厳しく非難し、SNS上で経済を悲観的に見る投稿に対して警告を発している。最近の中央経済工作会議では経済のポジティブなイメージを強化することが強調され、国家安全部は経済安全を守るために法的措置を取ることも明言している。

いっぽう、こうした対応はその場しのぎに過ぎない、と張氏はみている。中国の証券会社が全て政府と密接に関連しており、営業許可を含むあらゆる運営が中共の影響下にあるという事実自体、市場の公平性を著しく損なっているとした。

「コネがなければ、営業部門を開設することはもちろん、営業許可を得ることもできない」、「全体的に言えば、これらはすべて共産党によって操られているものなのだ」と述べた。

中国国家外為管理局が18日発表したデータによると、外国企業による中国への直接投資が昨年、前年比82%の大幅減となり、30年ぶりの低水準に落ち込んだ。加えて、中国の企業や家計による外国との取引資金が5年ぶりに流出超過となった。外資企業の事業縮小や富裕層の国外流出を背景にある。

上海総合指数が3年10カ月ぶりの低水準に下落するなど、市場の不安定さが顕著になっており、投資家は日本を含む外国の安全な資産へと目を向けている。

世界的な大手企業は中国本土から離れ、東南アジアやメキシコなどの国々に移転している。このことが中国の産業チェーン全体に大打撃となっている、と張氏は考えている。川下の末端製造業が失われ、民間や中小零細企業の失業率はますます高まり、多くの人が生活難に陥る恐れがある。

「現行の経済政策が続く限り、下降傾向は止まらない。株価が上昇しても経済の本質的な改善にはつながらない」と張氏は述べた。

馬尚恩
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