知らなかったではすまされないWHOの条約改正 日本人の選択は何処へ 

2024/04/09
更新: 2024/04/10

「来年、多くの日本人が収容所に入れられるかもしれない。収容所に入るか、免れるかは来月に決まる」と言ったら驚くだろうか? もちろん未来のことはわからないし、この例えは極端かもしれない。

しかし私たちが知らないところで、WHOと政府の間で進められていることは、私たちの自由を奪う危険性を孕んでいる。

4月6日(土)東京千代田区内幸町の日本プレスセンターで、パンデミック条約・改悪IHR反対国民連合が「パンデミック条約・国際保健規則(IHR)改正反対」の記者会見を行なった。

会見では、世界保健機関(WHO)パンデミック協定と、既存の国際保健規則(IHR)の改正に対して大きな疑義を呈した。

これらの協定の最終決定目標は2024年5月となっており、改正の全容が明らかにされてはいないものの、これまでWHOから部分的に発信されているその内容は、将来起こりうる世界的な公衆衛生上の脅威に対してWHOの権限を大幅に強化するもので、WHOが国家主権を飛び越えて、国際的な保健政策やワクチン政策を指示する権限を持つというものだ。

世界45か国以上、200以上の団体が賛同する非営利の保健団体のWCHJapanの理事・上条泉氏は、記者会見で「2020年4月に発表された、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が発表したガイダンスには緊急権限はOHCHRが規定する範囲内で使用されるべきと明記してあると述べ、今回の国際法に違反していることは明白」だと述べている。

この内容はまだ議論中ながら、国家主権が失われかねない内容も含んでいることから、大きな物議を醸している。

その大きな論点はWHOに国家主権を超えるような大きな権限を与えてよいかという点だ。

まずWHOの施策の信頼性だ。世界保健機関(WHO)が新型コロナパンデミック対策を mRNAワクチンで進めたものの、接種後に全世界的に健康被害が発生し、「超過死亡 [1]」と呼ばれる理由のつかない死亡者の増加が見られ、これに対して、少なくない科学者が新型コロナワクチンが原因ではないかという見解を示している。

各国の保健当局は無視しているものの、ワクチン接種と死亡を含む健康被害が関連しているか否かを説明できるメカニズムについては、未だ明らかにはされてはいない。

次に利益相反の問題だ。WCHJapanによると、WHOはビル&メリンダ・ゲイツ財団やワクチン関連団体がアメリカやドイツより多い資金を提供しており、これらの団体の意向がWHOの施策に多大な影響力を及ぼす事が容易に推測できる。事実、WHOは強力にmRNAワクチン接種をすすめている。

近現代史研究家の林千勝氏はWHOに関して、「実質上はロックフェラー財団国際保健部の組織で、パンデミック条約や国際保健規則IHRはワクチンと病原体のグローバルビジネスに独占的な枠組みを提供するものだ」と断じている。

またWHOの透明性に欠けた態度も世界的に疑念を抱かせている。

WCHJapanはWHOの条約改定/制定は5月のWHO総会で採決が予定されているにも関わらず、この条約案は4か月前には各国に公開しなければならない規則がありながら、各国が十分な検討期間を設けなければならないという手続を無視していると指摘している。

これほど、個人の自由が奪われかねない選択を迫られているにもかかわらず、選択する市民には情報が開示されず、むしろ拙速に進めようとしていると捉えられても仕方がないだろう。

しかし日本は今回のWHOの改正案を積極的に受け入れるつもりだ。

2月27日、上川陽子外務大臣は衆院予算委員会で、WHOの「規則」について、国会の承認を求めず、法的拘束力を受け入れると述べた。

また鈴木俊一財務大臣は3月12日、神谷宗幣議員(参政党)から「法的拘束力を持つ国際合意が財政に影響があるのか」との質問に答えた際、「国際保健規則は、すでに国会で承認したWHO憲章に基づく規則であり、その採択にあたり、国会の承認は求められていない」と述べている。

一方で、地方への体制の整備も進んでいる。

政府は2月29日の閣議で地方自治法の改正案を決定し、大規模な災害や感染症のまん延など、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合に、個別の法律に規定がなくても国が自治体に必要な指示を行うことができる特例を設けるとした。

大阪府和泉市議会議員の谷上昇議員(無所属)は今回の政府の一連の動きに対して、パンデミック条約反対の記者会見で、「緊急事態で必要のある場合は個別法で定め、指示をすることと規定されているにもかかわらず、改正案ではその情報を残したまま、発動要件において緊急にという表現を削除し、適用しやすくした上で、地方自治法の中で特例という形で新設するものであり、同じ法律の中で矛盾が生じていると言える」と指摘し、「この改正案は地方自治の本旨である住民自治と団体自治を揺るがすもので、私は立法の体系にも矛盾があるものだと感じる」と述べている。

こうしたWHOとパンデミック条約に反対するデモ行進が4月13日(土)、池袋の東池袋中央公園を起点に展開される。

近現代史研究家の林千勝氏は今回のデモを右も左もなく日本を一つにする運動だとし、世界的にも日本が動くことが重要だと述べ、デモ行進への参加を募っている。

 

[1]ここで言う超過死亡は、予測値に対するものではなく、死亡数の前年との差を指します。

大道修
社会からライフ記事まで幅広く扱っています。
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