日本製鉄(以下、日鉄)によるアメリカ大手鉄鋼メーカーUSスチールの買収計画をめぐり、日鉄の森高弘副会長が2025年2月6日に行われた決算会見で、同計画の承認を目指しトランプ大統領へ働きかけを進めていることを明らかにした。
この買収計画については、バイデン前大統領が国家安全保障上の懸念を理由に禁止命令を出したことで注目を集めている。両社はこれを不服とし、命令の無効と審査のやり直しを求めて提訴。裁判は今月3日から始まっている。
森副会長は会見で、「この買収計画はUSスチールにとって最良の提案であり、裁判に全力を尽くすしかない。USスチールの成長は幅広い産業に良い効果をもたらすと確信している」と述べた。また、「トランプ政権が掲げる製造業復権という政策とも一致する内容である」と強調した。
さらに森氏は、「トランプ大統領はこの禁止命令を覆して承認を出す権限を持っており、計画の再審査を命じる権限も持つ。そのため、さまざまな働きかけを行っている」と述べ、計画実現に向けた具体的な行動を進めていることを示唆した。
今回の動きは、トランプ政権が製造業振興に力を入れている政策方針に基づいており、日鉄としてもこの方針に沿った形での協力を進めたい考えとみられる。森氏はまた、日米首脳会談について「トランプ大統領に計画の意義が伝わり、道が広がる契機になればと見守っている」と述べた。
USスチールの買収計画をめぐる問題は、国家安全保障上の懸念や政治的な影響も含む複雑な構図を持つ。バイデン前政権が下した禁止命令がどのように扱われるのか、そしてトランプ政権下での判断がどのように展開するのか、今後の動向が注目されている。
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