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台湾の前例なき大リコール合戦 中共が焦り 密命を下す

2025/04/29
更新: 2025/04/29

2025年初頭、台湾全土を巻き込む大規模な罷免運動、いわゆる「大リコール合戦」が発生し、立法委員の解職請求が相次ぎ、台湾社会は今、大きく揺れている。

中共の上層部が台湾のリコール合戦の状況に非常に焦りを感じており、特に一部の「中共代理人立法委員」が罷免された後、若い反共・台湾擁護の人物が補欠選挙で立法委員に当選することを特に懸念していると明らかにした。すでに彼らには、次の段階の宣伝において、中傷行動を強化するようにとの密命が下されていたようである。

台湾の大規模な罷免運動は、2024年の立法委員(国会議員に当たる)選挙で国民党と民衆党が国会多数派となり、与党・民進党が少数派へと転落したことが背景にあった。これにより、政府の新政策推進が難航し、総予算も大幅に削減されるなど、政治の停滞が続いた。こうした状況に対し、民進党の立法院党団総召・柯建銘(か けんめい)氏や複数の市民団体が「国会の混乱を終わらせるため、国民党の区域立委を罷免しよう」と呼びかけたことが、罷免運動の発端となった。

罷免運動は急速に拡大し、2025年2月までに多くの国民党立法委員に対する罷免が、第一段階の連署基準を突破。第二段階の連署も全国各地で活発に進められ、この運動は単なる政党間の争いにとどまらず、市民社会が主体となり、既存の政党構造を超えて広がっている点が特徴的だ。

中共の反応と今後の懸念

この大リコール合戦を台湾で観察していたオーストラリア在住の学者・袁紅冰氏は「台湾は今、反中共2.0時代に突入した」と評した。袁氏はさらに、中国共産党(中共)高層が、このリコールブームに強い危機感を抱いていると明かす。中共は、台湾の立法院に送り込んだ「代理人」の立法委員が罷免され、その補選で若い反中共・台湾擁護派の人物が当選することを特に警戒しているという。中共は、今後、宣伝面でのネガティブキャンペーンを強化するよう内部指示を出したとも伝えられている。

袁紅冰氏によれば、中共は、福建省国台弁のシンクタンクから提出された報告書をもとに、台湾の罷免運動を分析した。報告書では、親中派の立法委員が15人前後罷免される可能性が高く、これはもはや阻止困難な流れと評価され、また、罷免後の補選で反中共・台湾擁護を掲げる市民団体のリーダーが新たな立法委員になることを、中共は大きな脅威と見なした。

実際、今回の罷免運動では、従来の政党対立を超え、深藍(国民党支持層の中でも保守的・親中派)からも一部が反中共・台湾擁護の立場に転じ、緑営(民進党支持層)と連携する新しい動きが出ていた。これにより、台湾社会における「反中共」のエネルギーが従来以上に高まり、袁紅冰氏はこれを「台湾反中共2.0時代」と呼ぶにふさわしい現象と位置づけた。

市民社会と政党を超えた広がり

中共側は、こうした新たな反中共勢力が立法院に進出すれば、台湾統一戦略の主導権を失い、台湾情勢のコントロールが困難になると危機感を強め、特に、聯華電子(United Microelectronics Corporation)創業者の曹興誠(そう こうせい)氏や、若手のネットインフルエンサーである八炯(はち けい)氏や、陳柏源(ちん はくげん)氏らが補選で当選することを警戒し、彼らに対する人格攻撃や宣伝戦を強化する具体策も検討されたと言う。

一方、台湾国内では、4月19日に「拒絶統戦、守護台湾」集会が開催され、八炯氏や曹興誠氏、民進党の複数立法委員が登壇し、約5時間にわたり訴えた。また「反共護台志工連盟」は「連署130%を目指し、罷免を公投に奪われないように」と呼びかけ、5月中旬までに第二段階連署を完了させるべく活動を続ける。

これに対抗する形で、国民党も4月26日に「反緑共、戦独裁」と題した集会を総統府前で開催し、罷免運動への反撃姿勢を鮮明にした。こうした与野党の対立は、台湾全土の各選挙区に罷免運動が広がる要因となった。

このリコールブームは、単なる政党間の権力闘争ではなく、台湾社会が外部からの統一圧力や内部の分断にどう向き合うかという、国家の根幹に関わる民主運動として、国際的にも注目され、袁紅冰氏は「今回の大リコール合戦は、台湾市民が中共の統一戦線陰謀に自ら立ち向かう偉大な民主運動であり、国際社会の世論もこれを支持している」と強調した。

今後、罷免運動がどこまで広がり、台湾の政治構造や中台関係にどのような影響を及ぼすのか、引き続き注視が必要である。

寧海鐘
中国語大紀元の記者。
駱亜
中国語大紀元の記者、編集者。