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中共の越境弾圧 世界的な構図と運用手段が明らかに

2025/05/02
更新: 2025/05/02

国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が最新の越境調査報告を発表した。23か国105人の被害者への取材を行うとともに、中国共産党(中共)の内部文書に基づいて、中共がどのように世界各地にいる反体制派を抑圧しているかについて明らかにした。

国際調査報道ジャーナリスト連合は4月28日、越境調査「中国ターゲット」を発表し、中共当局の弾圧機構のグローバルな構造と運用手段について明かした。

この調査は10か月にわたり、国際調査報道ジャーナリスト連合と世界42社のメディアが協力し、23か国で中共による越境弾圧の標的となった105人に取材を行った。その中には、中共がタブー視する話題、例えば法輪功に対する残酷な迫害について語っただけで弾圧を受けた人々もいる。さらに、国際調査報道ジャーナリスト連合は2001~20年にかけての中共政権の内部文書や警察教材、国家安全に関する秘密警備ガイドラインをも入手した。

調査報告書は、中共がこれらの文書に基づき、海外の反体制派の間で今も使われている組織的な弾圧モデルを確立したことを明らかにした。

例えば「親情影響」とは、ターゲットの家族に圧力をかけて活動を停止させる手法だ。「はしごを外す」とは、活動家が海外から帰国することを禁止することを指し、「酸素を断つ」とは、ターゲットの収入を減少させ、銀行口座を押さえることを意味する。さらに、活動家の間に疑念や不信を生じさせ、ネット監視で「外部との連絡を断つ」ことや、ターゲットの「不道徳な行為」を暴露する手法も存在する。文書には「聖人はいない、誰も過ちから免れることはできない」と記されていた。

豪ニューサウスウェールズ大学の政治学博士、林松氏は、中共の弾圧手段を実際に体験している。

林松氏は「数年前、チベットの精神的指導者ダライ・ラマ氏がオーストラリアを訪れた際、私は彼の集会に参加し、ダライ・ラマ氏との写真を撮った。その後、中国にいる親族から警告を受け、なぜ私がダライ・ラマ氏と一緒に写真を撮ったのかと問い詰められた。それ以来、親族からはそのような行動を控えるようにと注意されている。これが中共の影響だ。また、『酸素を断つ』という表現があるが、現在の香港では、例えば許智峯氏が指名手配されてオーストラリアに逃れたが、彼の香港にある銀行口座や資産がすべて凍結された。凍結された資産が中共に没収されるかどうかも不明だ」と語った。

国際調査報道ジャーナリスト連合がインタビューした105人のうち、半数が中国にいる家族が警察から脅迫や尋問を受けたと証言している。60人は所在国で中共の派遣者による監視や尾行を受け、22人は中共を公然と支持する者から脅迫や攻撃を受け、19人は中共政権の関与が疑われるサイバー攻撃に遭った。

調査報告はまた、習近平政権以降、国連人権理事会が敵意に満ちた環境に変わっていることを示している。国際調査報道ジャーナリスト連合が分析した国連に登録された中国系のNGO106団体のうち、59団体が中共政権と密接に結びついており、これらの団体は人権理事会で中共の政策を批判しようとする個人を妨害している。

さらに、中共は「レッド・ノーティス(重大な犯罪を犯した指名手配犯について、国際刑事警察機構が加盟国の要請により発行する国際的な手配書)」を濫用し、反体制派やウイグル人権活動家、ビジネスマンを追跡しており、これは同機構の政治利用禁止規定に反している。

台湾国防安全研究院の研究員である沈明室氏は「中国が国際機関に参加する目的は、国際社会の利益や支援のためではなく、各国を巻き込んで国際的な統一戦線を形成することにある。私の考えでは、中国の弾圧行動について国際社会もその事実に気づいていると思う。しかし、国際機関は一般的に予算が不足しているため、中国はこれらの国を引き込むことで様々な支援を提供し、国際機関内での支持を得ようとし、さらには国際機関で重要な地位を占めることを目指している。中国に対抗する提案や人員に直面した場合、中国は当然これらの弾圧行動を取るだろう」

調査報告によれば、最近多くの国が中共による海外に在住する中国人への抑圧に新たな認識を持つようになったが、民主国家は依然として対応策に乏しいと指摘されている。

欧州議会はすでに、EU加盟国に対し中共の越境弾圧に協調した対応を求めている。米国務省は先月、越境弾圧に関与した中共および香港の6人の当局者に制裁を科した。

今年2月、国際NGOフリーダムハウスが発表したデータによれば、昨年には人権に関する越境弾圧の事件が160件発生し、23の政権が関与している。その中でも中共が最も多くの越境弾圧を行い、この人権侵害の記録で中共は10年連続でトップに立っている。