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最強の軍艦も鉄くずに ニコラ・テスラの予言が現実に近づいている

2025/05/04
更新: 2025/05/04

ニコラ・テスラ(セルビア出身の米国人発明家・研究者で、交流機器の基礎となる回転磁場を考案)は1898年に遠隔操作による海上戦を予見しており、ウクライナの魚雷ドローン、カトランは軍艦を過去の遺物へと変えつつある。

■解説

100年以上前、ニコラ・テスラは私たちの知っている戦争を廃絶できるという発明を提案した、と1898年11月8日付のニューヨーク・ヘラルド紙はその見出しでこう伝えた。同紙によれば、テスラは「科学の偉大な魔術師」と呼ばれ、遠隔操作兵器によって最強の海軍でさえも無力化できると主張していた。

テスラは、岸から電気を使って船、気球、陸上車両を操作する単独の操縦者を思い描いていた。その中には、敵艦を水上・水中のどちらからでも攻撃できる魚雷を搭載した船も含まれていた。

彼は「戦争は不可能になるだろう」と宣言しており、この記事は「世界中が、最も弱小な国でさえ、自国の海岸を安全にし、港を難攻不落にする武器を即座に手に入れられると知った時に」と伝えている。

ニコラ・テスラのシステムは視認範囲内での無線操作に依存しており、それは当時の技術的な限界だった。彼は、現代の衛星通信、センサー、ナビゲーションシステムを想像することはできなかった。これらの最新手段は、無人プラットフォームを世界中どこでも正確に運用することを可能にし、ニコラ・テスラの時代の可能性をはるかに超えている。

時は流れて現代、ウクライナの無人水上艇(USV)が、ロシアとの戦争の中でテスラのビジョンを現実のものにしつつある。その先頭に立っているのが「カトラン」で、ドローンプログラムの責任者であるウクライナのミハイロ・フェドロフ副首相が3月25日に公開した。

「サメ(Shark)」の愛称でも知られるこの先進的なUSVは、攻撃および偵察のために設計されている。最大時速約130キロ(80マイル)で航行でき、900マイル(約1450キロ)以上の距離を移動可能で、黒海というウクライナとロシアの海上戦場では極めて脅威的な存在だ。

搭載された人工知能(AI)によって、通信を遮断した状態(無線封止)でも運用できるため、電波が飛び交う地域では特に重要である。また、電子妨害手段により、ロシアの対USVドローンを無力化することが可能だ。

カトランは、ウクライナがすでに保有しているUSV艦隊の戦力をさらに強化する存在となっている。

ウクライナのドローン艦隊には、ジェットスキー型の基本的なドローンから、マグラV5やシーベイビーのような高度な攻撃プラットフォームまで、少なくとも15種類が存在し、すでにロシアの黒海艦隊、軍港、クリミア橋に損害を与えている。

カトランはその脅威を基盤に、さらに神風ドローン、多目的な攻撃艦としても運用できる。

カトランは機関銃、地対空ミサイル、魚雷といった強力な兵器を搭載しており、陸上・空中・水中のあらゆる目標を攻撃可能である。このような火力は、ヘリコプターや近距離用の艦砲といったロシアがUSV迎撃のために使用している従来型防衛手段に対して、大きな脅威となる。

昨年12月、対空ミサイルを搭載したウクライナのUSVがロシアのヘリコプターを撃墜した。これは、USVの多用途性を示す証拠である。

さらに、最近スウェーデンから提供された先進的な魚雷、Torpedo 47sやサーブ社の軽量魚雷によって、USVの攻撃範囲はさらに拡大する可能性があり、12マイル(約19キロ)以上離れた軍艦への攻撃も可能になるだろう。

カトランのAIによる自律性と電子戦装備は、ニコラ・テスラの原始的な遠隔操作の域をはるかに超えている。人間の監督を最小限に抑えつつ任務を完遂し、脅威にリアルタイムで対応できる。それは、テスラが夢見ることしかできなかった進化の姿である。

USVの台頭は、海軍戦略における劇的な変化を示しており、大型有人軍艦の存在そのものに挑戦している。ウクライナが低コストで機動力の高いドローンを用いてロシアの海上優位を揺るがしている成功例は、巨大な戦艦や空母の時代が終わりに近づいていることを示唆している。

情報収集や精密な攻撃を自律的に行える能力を持つカトランは、すでにテスラが1898年に構想したものを超えており、先進的な兵器が国の規模に関係なく戦力の均衡をもたらすだろうという彼の予言を呼応している。

より強力な兵器、より長い射程、そしてより賢いAIが迫っている今、軍艦、航空機、戦車といった高価な有人プラットフォームは時代遅れになるリスクに直面している。カトランやその後継機は、テスラの言葉を借りれば、「最強の装甲艦」は革新の前に「鉄くず」に変えられてしまうかもしれない。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
カナダを拠点とする記者。アジア太平洋ニュース、中国のビジネスと経済、米中関係を専門としている。
元中共軍(PLA)の技術者であり、航空機器や工学技術管理を専門としていた。軍を退役した後も、世界各国における軍事装備の発展を注視している専門家である。