中国経済の失速が、観光需要のあり方をも根本から変えた。
5月の「労働節(メーデー)」連休は、例年、各地で観光ブームを巻き起こすが、2025年は様相が一変し、今年の旅事情はとにかく「短距離・低予算」に集中して、観光業全体が「真冬」に突入した。
中国当局のデータによると、メーデー期間中の全国の鉄道利用者は、14.67億人と過去最高を記録し、消費市場については、「活況を呈し、重点小売・飲食企業の売上高は、前年同期比で6.3%増加」と報じられた。しかし実際はどうか? 各地の商人らはSNSなどで「客は多いのにモノを買わない」と嘆き、実際の売上は、過去最低との声が相次いだ。
特に上海市・広州・深セン市などの大都市では、「見物はしても財布を開かない」観光客ばかりだとされ、消費の低迷が著しいという。
地方でも、観光客の「消費しない姿勢」が顕著に表れた。
内モンゴルや山西省のホテル・飲食店では「今年のメーデーは過去最悪」との声が続出し、とある餅店店主は、「昔の客は大人数で大皿料理を頼んだが、今は小皿でシェアして済ませる」とし、明らかな消費行動の縮小を指摘した。
杭州市の人気観光地・西湖でも「今年の売り上げは昨年の4分の1」とカフェ経営者が述べた。
こうした消費力低下の背景には、住宅価格の下落や将来不安があるとみられ、また、観光地での事故多発や混雑によるトラブルも人々の外出意欲を削いだという。
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