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激変する中国 ネーミング変更の裏にある“責任の行方”

女子大生3人が焼死したEV事故後 シャオミ社が「スマート運転機能」の呼び名を変更

2025/05/08
更新: 2025/05/08

3月、中国・安徽省の高速道路で、中国スマホ大手シャオミ(小米)製EV「SU7」がスマート運転機能の使用中に中央分離帯へ衝突・炎上し、女子大学生3人が命を落とすという重大事故が発生した。

その衝撃は広く波及し、事故現場付近の高速道路には「スマート運転は禁止」と明示する電子掲示板メッセージが相次いで登場。社会全体で「スマート運転」に対する警戒感が一気に高まった。

「スマート運転」とは、正式には運転支援システム(ADAS)を指す場合が多く、ドライバーがハンドルを握りつつ、一定の機能(車間距離の維持、自動ブレーキ、車線維持など)を補助的にサポートする技術である。

一方、「自動運転」とは、人間の操作を不要とする完全自律走行を意味し、システムが全責任を持って車を制御する。

そして5月4日、シャオミの公式サイトにおける「SU7」の新車予約ページの表記が静かに変更された。従来「スマート運転(中国語:智能駕駛/智駕)」という呼び名が、目立たぬかたちで「運転支援(中国語:輔助駕駛)」に書き換えられていたのだ。

一見はただの呼び名の変更。しかしネット上では「責任逃れのためのすり替え」と批判が噴出している。

「名前を変えれば事故の責任も消えるのか」「宣伝では“未来運転”と騒いでおきながら、いざとなれば“あれは運転支援機能でした”とは無責任すぎる」といった怒りの声が相次いでいる。

もちろん、肯定的に受け止める見方もある。「過熱した自動運転ブームにブレーキをかけ、現実とのギャップに向き合った英断」とする声や、「ユーザーの誤認防止になる」とする意見もあるのは事実だ。

だが、そうした「配慮」が本当に事故の前に必要だったのではないか。そもそも「スマート運転」という言葉で、メーカーはあたかも高度な自動運転が可能であるかのように誇張してきた。

それが今、問題が起きると“技術とユーザー理解のギャップ”と他人事のように語るのは、責任逃れにほかならない。

 



中国製EV「安全神話」崩壊 高速でスマート運転機能の「使用自粛」を促す警告メッセージが急増【動画あり】

女子大生3人を焼死させたシャオミEVの事故は「スマート運転利用中に発生した」とされており、中国の一部高速道路でスマート運転機能の「使用自粛」を促す警告メッセージが頻繁に表示されている。

つまり、スマート運転はあくまで“運転補助”、自動運転は“無人での走行”を目指す技術であり、責任の所在も異なる。事故時に「手を離していた」か否かが議論を左右するのは、この違いに由来する。

近年、中国のEV広告ではこの線引きがあいまいにされ、「スマート運転」という語が、あたかも「完全自動運転」であるかのように使われていた。

そして今、名称を変えることで過去をなかったことにしようとしている。だが、事故で命を奪ったのは「名前」ではない。誤認を誘う宣伝の構造そのものである。

 



衝突事故で炎上した中国製EV ドアが開かず女子大生3人が焼死 納得できない遺族=中国・安徽省

またも中国製EVの重大事故。衝突後に発火し、車内に閉じ込められた女子大生3人が焼死した。車両のドアロックが解除されなかったことが悲劇を拡大させたという。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!