8日午前の東京株式市場で、NTTデータグループ(9613)の株価が急騰し、前日比501円(16.8%)高の3492円でストップ高気配となった。午前9時45分時点でも売買は成立せず、買い注文が殺到する状況が続いている。背景には、親会社である日本電信電話(NTT、9432)がNTTデータグループを完全子会社化する方針を固めたとの報道がある。
NTTは現在、NTTデータグループの株式を約58%保有しており、残る約42%を株式公開買い付け(TOB)によって取得する計画とされる。TOBの買い付け価格には、直近の株価に対して3~4割のプレミアム(上乗せ)が付く見通しで、投資総額は2兆円台半ばに達する可能性がある。取引が成立すれば、NTTデータグループは上場廃止となる見込みだ。
NTTデータグループは、企業や官公庁向けのITサービスに強みを持ち、海外事業の拡大も進めている。NTTは今回の完全子会社化によって、グループ内の意思決定を迅速化し、海外事業の競争力を高める狙いがある。2025年3月期のNTTデータグループの営業利益は前期比8.5%増の3360億円と見込まれ、NTT全体の営業利益の約2割を占める規模である。
なお、NTTとNTTデータグループは8日朝、「本日開催の取締役会で本件を付議する予定」とのコメントを発表しており、決定次第速やかに公表するとしている。現時点では、正式な決定や詳細な条件は両社から発表されていない。
今回の動きは、2020年のNTTドコモ完全子会社化に続くもので、NTTグループ内の「親子上場」はすべて解消される見通しだ。通信とITサービスの融合を加速させ、国内外での事業展開を強化する重要な転機となる。
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