化粧品大手の資生堂が発表した2025年1月から3月までの3か月間の連結決算によると、本業のもうけを示すコア営業利益は前年同期比27.2%減の83億円となった。売上高も前年同期比8.5%減の2,282億円にとどまった。資生堂は売上の6割以上を海外市場に依存しているが、中国経済の低迷やアメリカでの販売不振が続き、業績に大きな影響を与えた形だ。
中国市場では景気の悪化や消費者心理の冷え込みが続いており、免税店向けの売上も減少した。米州事業では、2019年に買収したスキンケアブランド「Drunk Elephant(ドランク・エレファント)」の販売が引き続き苦戦し、米州全体の売上高は前年同期比14.5%減となった。また、欧州事業でも一部ブランドの減収や前年の高い成長の反動が響き、売上高は9.2%減となった。
一方、日本国内事業では構造改革の効果が現れ、コスト削減などにより一定の利益を確保したものの、全体の売上高は2%減少した。資生堂は昨年、国内で早期退職を実施するなど構造改革を進めており、これが最終損益の黒字転換に寄与した。
記者会見で藤原憲太郎社長は、米国の関税政策による影響についても言及し、原材料の現地調達の推進や卸売価格の見直しなどリスク低減策を講じていく方針を示した。
資生堂は2025年12月期通期の業績見通しについて、売上高9,950億円、コア営業利益365億円と据え置いているが、海外市場の不透明な環境が続く中、今後も厳しい状況が続く見通しである。
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