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鉄鋼大手3社 2026年3月期は大幅減益見通し 中国の過剰生産と米関税が影響

2025/05/13
更新: 2025/05/13

鉄鋼大手3社である日本製鉄、JFEホールディングス、神戸製鋼所の2026年3月期連結業績予想が12日、出そろった。各社ともに最終利益が前期比で大幅な減益となる見通しを示している。背景には、中国の鉄鋼過剰生産による市況の悪化と、米国のトランプ政権による関税措置の影響がある。

日本製鉄は、2026年3月期の最終利益が前期比42.9%減の2,000億円になると予想している。中国の鉄鋼過剰生産による国際価格の下落や、米国の追加関税政策が大きな打撃となっている。日本製鉄は「米国の関税政策が国内外の顧客に与える間接的な影響は甚大」としつつ、サプライチェーン全体への影響を定量的に把握するのは困難だと説明している。

JFEホールディングスも、2026年3月期の最終利益が前期比18.4%減の750億円となる見通しを発表した。3期連続の減収となる見込みで、米国の関税政策や中国の輸出増加が収益圧迫の要因として挙げられている。

神戸製鋼所は、同じく最終利益が前期比16.8%減の1,000億円になると予想した。米国の関税政策による世界経済の停滞や投資活動の減速、自動車向け製品の需要減少への警戒感を示している。なお、トランプ政権の関税政策の影響については現時点で評価が難しいため、今回の見通しには含めていないとしている。

中国では不動産不況により国内需要が縮小する一方で、鉄鋼生産は増加傾向にある。これにより、余剰となった鉄鋼が国際市場に大量に流出し、価格の下落を招いている。2024年には中国の粗鋼生産量が前年同期比で増加し、国内消費は減少したため、在庫が膨らみ鋼材価格が急落した。

一方、米国ではトランプ前政権が鉄鋼やアルミ製品に対して25%の追加関税を課すなど、保護主義的な政策を強化している。これにより、日本からの鉄鋼製品輸出が減少し、国内メーカーの業績悪化につながっている。

このように、鉄鋼大手3社の減益見通しは、中国の過剰生産による国際市況の悪化と、米国の関税強化という二重の逆風を受けたものだ。各社は生産体制の見直しや経営の効率化などで対応を進めているが、今後も厳しい経営環境が続く見通しだ。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。