アメリカのトランプ大統領は5月15日、アメリカとイランが核合意に「非常に近い」段階まで到達しており、テヘランも「ある程度」その条件を受け入れていると述べた。同時に、イランの高官も核計画において大幅な譲歩を行う用意があるとし、その見返りとしてアメリカによる制裁の解除を求めている。
現在、トランプ大統領は中東3か国(サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦)を訪問中である。
14日にカタールで開催された晩餐会では、トランプ大統領がカタールに対し、イランに対する影響力を行使し、合意の実現を後押しするよう要請した。晩餐会での発言では、「イラン情勢の対処を助けてほしい。これは危険な状況であり、正しい決断を下したいと考えている」と語った。
前日には、リヤドで開かれた湾岸協力会議(GCC)でも、アメリカは「合意を目指している」と述べ、その条件としてイランが中東各地の代理勢力への支援を終了することを求めた。
テヘラン 高濃縮ウランの廃棄を提案 制裁解除と引き換え
NBCニュースによれば、イランの最高指導者ハメネイ師の上級政治・軍事・核問題顧問であるアリ・シャムハニ氏は、テヘランが核兵器を永久に製造しないと約束し、高濃縮ウランの備蓄を廃棄、民生用レベルのウランのみを保持すること、さらに国際的な監視も受け入れる用意があると述べた。
その見返りとして、イランはすべての経済制裁の即時解除を要求している。合意条件が満たされた場合、協定に署名する意思があるかとの問いに、シャムハニ氏は「はい」と明言した。
また同氏は、「もしアメリカが言動を一致させるならば、我々の関係は確実に良くなる」と述べた。一方で、トランプ氏の圧力的な手法には不満を示し「アメリカの態度は鉄条網ばかりで、オリーブの枝(平和の意図)が見えない」と批判した。
トランプ大統領 イランに警告 「戦争に発展させるな」
トランプ大統領は晩餐会でもイランに対し警告を発した。テヘランは速やかに行動し、アメリカとの合意を成立させるべきであり、そうでなければ情勢は他の紛争と同様に制御不能となり、戦争に発展する可能性があると指摘した。
「こういった事態は一度始まると制御がきかなくなる。私はそのような状況を何度も見てきた。戦争が始まり、事態が手に負えなくなる。我々はそうはさせない」とトランプ氏は述べた。
現在、アメリカとイランは4月初旬からすでに4回にわたって非公開協議を行っており、最新の協議は11日にオマーンで終了した。両国は今後も協議を継続する意向を示している。
イランのウラン濃縮度は現在60%に達しており、兵器級水準まではあと一歩の段階にある。国際原子力機関(IAEA)の評価によれば、テヘランの現有備蓄量はすでに複数の核兵器を製造可能な水準にあるという。
仮にアメリカとイランが核問題で新たな合意に達すれば、それはトランプ大統領の第2期政権における最も象徴的な外交成果の一つとなる可能性がある。
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