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イーロン・マスク氏 政治献金の縮小を表明 「もう十分やった」

2025/05/21
更新: 2025/05/21

イーロン・マスク氏は、今後は政治活動への関与を縮小する意向を示した。20日に開催されたブルームバーグ主催の「カタール経済フォーラム」において、政治献金を大幅に減らす考えを明かしつつも、説得力のある理由があれば将来的に再び支援する可能性もあると述べた。

マスク氏は2024年の大統領選で、トランプ氏や複数の共和党候補に対して、総額3億ドル(約453億円)近くの資金を投じた。しかし今回、「これからは政治献金を大幅に減らすつもりだ」と語り、その理由として「もう十分やったと思う」と説明した。

トランプ政権下でマスク氏が主導した政府効率省(DOGE)での活動が反発を招いたのでは、という司会者の指摘に対しては、その見方を否定。

「今後、政治献金を行う理由が見つかればやるが、現時点ではその必要性を感じていない」と述べた。

DOGEは閣僚級ではないが、政府機関の効率化とコスト削減を目的とする機関であり、厳しい監査により官僚組織の大幅な見直しを進めてきた。こうした改革は一部で抗議を招いている。

またマスク氏は、少なくとも今後5年間はテスラの最高経営責任者(CEO)を続けると改めて表明。辞任する唯一の方法は「私が死んだ場合だ」と冗談交じりに語った。

2024年の選挙戦では、マスク氏は共和党にとって最も影響力のある支援者の一人となり、重要州での現地活動や、トランプ氏のメッセージを広めるメディア戦略に多額の資金を提供した。また、ウィスコンシン州の最高裁判所選挙でも保守派候補を支援するために2千万ドル以上を投じた。この選挙はアメリカ史上最も費用のかかった司法選挙となったが、リベラル派候補が勝利した。

マスク氏の政治的関与の縮小は、2026年の中間選挙に向けた共和党の資金調達に一定の影響を与える可能性がある。

ワシントンのベテラン共和党ストラテジスト、ロン・ボンジーン氏はロイターに対し、「影響が出るかもしれないが、そうとは限らない。他にも資金を集める手段は多い。マスク氏がいたことで資金調達は確かにスムーズになった。しかし、今ではトランプ大統領が事実上の“資金集めの責任者”だ」と語った。

今年1月にトランプ氏が大統領に就任した後、マスク氏は政権内で重要な役割を担い、DOGEの効率化とコスト削減の取り組みを主導した。DOGEは資産の売却、契約の打ち切り、不正支出の検出、不適切な支払いのキャンセル、職員削減などを通じて、合計1700億ドルの節約を実現したと主張している。

一方で、こうした政治的関与が原因とされる抗議や批判も相次ぎ、テスラの販売に悪影響が出ている。アメリカとヨーロッパでは、テスラ車や販売店への放火・破壊行為が複数発生しており、関与が疑われる人物の逮捕も行われている。投資家の間では、マスク氏がDOGEに時間を割くことがテスラ経営に支障を来しているとの懸念も広がっている。

これを受けてマスク氏は先月、5月からはDOGEでの活動を週1~2日に制限すると投資家に説明し、懸念の払拭を図った。

カタールでのフォーラムでは、マスク氏はテスラに対する反発を受けて政治関与を後悔しているかどうか尋ねられた。

「やるべきことをやった」と答えたうえで、テスラに対する「大規模な暴力行為」や、自身と従業員への脅迫を厳しく非難した。

「彼らは歴史の誤った側にいる」と述べ、「多くの者が刑務所に入ることになる。それだけの責任は負うべきだ」と語った。

パム・ボンディ司法長官は、テスラを標的にした一連の破壊行為について「国内テロ」だと非難。FBIのカシュ・パテル長官は特別捜査チームを設置し、犯人の特定と起訴に取り組んでいる。トランプ氏は関係者に対して長期刑を科す方針を提案した。

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。