【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

AI推進法成立 開発とリスク対応に向けた初の法整備

2025/05/28
更新: 2025/05/28

「AI関連技術の研究開発・活用推進法」が5月28日の参院本会議で可決・成立した。AIの開発や活用を促進するとともに、リスク対応との両立を目指す内容である。

AIの開発促進や規制に関する国内法の整備は今回が初めてとなる。政府は首相を本部長、全閣僚を構成員とする「AI戦略本部」を設置し、研究開発と活用の推進に向けた基本計画を策定する方針だ。

新法では、AIを「経済社会の発展の基盤であり、安全保障上も重要な技術」と位置づけている。背景には、日本のAI分野における出遅れに対する危機感がある。

総務省が2024年度の情報通信白書に掲載した調査結果によると、日本の個人におけるAI利用率は9%にとどまり、中国(56%)やアメリカ(46%)と大きな差がある。業務で生成AIを活用する企業の割合も5割未満で、アメリカ(85%)、中国(84%)を下回った。

一方で、AIの悪用リスクも懸念している。犯罪や情報漏えいに加え、生成AIによる偽情報の拡散、いわゆる「ディープフェイク」など、先端技術に対する国民の不安は根強い。

新法では、こうした懸念に対応するため、国による調査に事業者が応じる責務を明記した。個人情報の漏えいや著作権の侵害など、悪質な事例が確認された場合、政府が分析のうえで事業者名を公表できる規定も設けている。

ただし、罰則規定が設けられていないことや、海外事業者の実態把握が困難である点については、国によるリスク対応の実効性に課題が残るとの指摘もある。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。