中国各地で、かつてない規模の異常現象が相次いで報告され、夜空を照らす謎の閃光、爆音、魚群の一斉跳躍、そしてオーロラに染まる空──それは人々の心に、静かな恐れと憶測を呼び起こした。
6月1日、雲南省昆明市の池では、300匹以上の魚が突如として一斉に跳ね上がる現象が発生。現地のSNSには「これは地震の前兆では」といった投稿が相次いだ。目撃者の証言によれば、魚たちは1分近く跳ね続け、その異様さに現地人でさえ「怖い、こんなの見たことない」と不安を覚えた。
( 「魚の乱舞」、2025年6月1日雲南省昆明市)
続く5月31日から6月1日にかけて、チベットの山南地区では、スプライト(放電発光現象)が観測された。
中国中央気象局も、同時期に地磁気の乱れが数日間続く可能性を警告。6月1日~2日は黒龍江省や内モンゴル、山西省などでは通常は目にできない「ピンク色や紫色のオーロラ」が観測された。

一方、5月下旬から、中国各地では「火流星(火球)」も疑われる発光と爆音が相次いだ。とくに5月30日夜から31日未明にかけて、北京市、山東省、広東省、海南省、安徽省、河北省など広範囲で「空が一瞬で昼のように明るくなった」「爆発音で目が覚めた」などの声がネット上に投稿され、その正体は「UFOか」「ミサイルか」と大きな関心を集めた。
(2025年5月30日夜山東省などで目撃された明るく光る物体)
一部の緊急管理局は「注視しているが事故報告はない」とコメントする一方、一部専門家からは「火流星の可能性が高い」との指摘もある。
中国では古来より、隕石や流星といった天体現象は“天の警告”とされ、社会の動乱や変化の前触れと信じられてきた。たとえば1976年には、吉林省に世界最大級の隕石が落下し、同年には唐山大地震、毛沢東や周恩来ら最高指導者の死去といった激動の年となった。
こうも相次ぐ“異象”に、人々は本能的に漠然とした不安を抱く。昔の人々は「天の異変」に備え、身を整えた。私たちもまた、空の変化をただの話題で終わらせず、足元を見直すときかもしれない。
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