米中交渉が再び緊迫。中国共産党(中共)の協定違反にトランプ大統領が激怒し、レアアース問題やホワイトハウスの人事刷新が米中関係に波紋を広げている。最新の関税問題と対中政策の動向を詳しく解説する。
米中の関税問題は、表面上は両国が握手を交わし、和解の雰囲気を演出しているが、実情は「蜜に油を混ぜて砂を加えた」かのごとく混迷し、中共は協議への署名直後に、裏で問題を引き起こしていた。
5月30日、トランプ大統領は「トゥルースソーシャル」で中共を名指しで非難し、「完全に協定を破った」と断言した。2週間前には、中国経済が崩壊寸前の状態にあることを明らかにした。アメリカがスーパー関税を発動すると、中国の産業は混乱し、多数の工場が操業停止に追い込まれると、社会に動揺が広がった。
当初、トランプ大統領は、事態を激化させる意図を持たず安定を優先した。そのため両国は、ジュネーブにおいて暫定協定に合意した。アメリカ側は一時的に圧力を緩和し、中共に退路を用意したが、中共はすぐに方針を翻した。
5月29日、米財務長官スコット・ベッセント氏は、米中交渉が「やや停滞している」と認め、トランプ大統領と習近平党首による直接の電話会談が、膠着状態の打開に不可欠であると指摘した。
この協定において焦点となったのは「レアアース(希土類)」である。ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によれば、アメリカは当時、レアアースの輸出許可の再開を条件として提示した。レアアースは電気自動車、半導体、ミサイルに不可欠な素材である。中共の副首相・何立峰は最終局面で同意し、アメリカは90日間の関税停止を発表した。
ところが、協定締結直後から北京は遅延を繰り返し、レアアースの輸出許可証を発行しなかった。これにより、アメリカの企業、特に自動車メーカーが次々と影響を受け「これ以上の遅延はパンデミック時と同様の工場停止を招く」との警告も出された。
ついに、トランプ大統領は堪忍袋の緒が切れ、中共に対し厳しい非難を加えた。ホワイトハウス通商代表のジェイミソン・グリア氏も、「アメリカは譲歩を重ねたが、中共は約束を守っていない」と明言した。一方、中共は「アメリカによるファーウェイのAIチップ封鎖こそが挑発だ」として抗議した。
中共はレアアースを交渉の切り札として利用し、アメリカに圧力をかけようとした。交渉に参加したアメリカの官僚たちは、当初から中共が重要な論点でごまかす可能性を疑っていたが、実際にその懸念は現実となった。
トランプ大統領は、中共の行動を協定破棄と見なし、容赦のない姿勢を示した。今後、アメリカは、対中貿易に関するすべての取り決めを再評価し、一部のハイテク製品の供給停止も視野に入れる。交渉のテーブルはなお存在するが、中共が再び演技に走るならば、トランプ大統領も黙ってはおかない。
内通者の一掃 トランプ大統領 ホワイトハウスの知中派を排除
トランプ大統領の対中政策には最近、明確な変化が見られる。その背後に多くの人が注目していない重要な動きが存在する。ホワイトハウスの対中安全保障チームを大幅に刷新した事実である。
2025年5月、アメリカ国家安全保障会議(NSC)において、大規模な人事異動を実施し、海外メディアはこれを「大粛清」と報じた。
5月23日、AP通信、ロイター、フィナンシャル・タイムズなどのメディアは、ホワイトハウス関係者の情報として、国家安全保障体制の大規模な再編が進行していると伝えた。数十人の官僚が直ちに解雇され、160人が強制的に行政休職となった。これらの人物には「中国と関係がある」とのラベルが張られた。
トランプ大統領は自ら命令を下し、その矛先を前国家安全保障顧問ウォルツ氏の政策チームに向けた。この措置はウォルツ氏の影響を排除し、米中90日関税交渉の期間中における障害を除去して「絶対的忠誠」に基づく決定体制を確立するためのものだ。
排除された官僚の多くは、米中第一段階交渉で重要な役割を担い、関税争いの緩和策を提案してきた人物である。彼らは経済委員会や国務省戦略チームに所属し、「貿易の双方向性」や「アジア撤退の影響」「関税がアメリカの産業構造に与える影響」に詳しい。トランプ大統領は彼らを「優柔不断な足かせ」とみなした。
残留した顧問の多くは対中強硬派であり、全面的な経済分離、軍事的対抗、思想的圧力を主張する。
5月初旬、トランプ大統領は、ルビオ国務長官をウォルツ氏の後任に任命し、キッシンジャー氏以来初めて外交と安全保障戦略を一手に担う重要な役割を託した。
ルビオ国務長官の就任後、NSCは100人以上の職員を削減し、最終的に約50人にまで縮小する見通しである。各部門の機能を国務省および国防総省へと移管し、両省の権限を大幅に強化した。
この措置は、トランプ大統領がルビオ氏に深い信頼を寄せていることを示す。
NSCの役割も変化した。かつては数百人の官僚が大統領に助言を行っていたが、現在は数十人がトランプ大統領の方針を忠実に実行する体制へと移行した。
今後、トランプ大統領の対中政策には、さらなる大きな動きが予想される。
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