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農家の所得向上へ約2兆5000億円の予算確保を要請 自民・森山幹事長ら

2025/06/03
更新: 2025/06/03

自民党の森山裕幹事長らが中心となる「食料安全保障強化本部」は、農家の所得向上と農業の構造改革を目的として、今後5年間で約2兆5000億円の追加予算を政府に求める決議をまとめ、6月2日に石破総理大臣へ提出した。これは、農業従事者の減少や高齢化が進む中で、国内農業の持続的な発展と食料安全保障の強化を図るためのものだ。

今回の予算確保要請の背景には、日本の農業を取り巻く厳しい現状がある。少子高齢化や農業従事者の減少により、生産基盤が弱体化し、食料自給率の低下が続いている。こうした状況下で、農家の所得を向上させ、農業の持続可能性を確保することが急務となっている。また、2024年に改正された「食料・農業・農村基本法」に基づき、2025年度から新たな農業政策の基本計画が始動。2030年までにコメの輸出量を現在の約7.5倍に増やす目標や、農地の大区画化、スマート農業の推進、流通網の整備などが掲げられている。これらの目標達成には大規模な財政支援が不可欠である。

今回の決議は、こうした基本計画を踏まえた内容である。森山幹事長は「今、動かなければ手遅れになる」と危機感を示し、農業改革の必要性を強調した。具体的には、農地の区画を広げて効率的な生産を進めることや、AIやロボットなどのスマート農業技術の導入を加速させること、さらにコメの輸出拡大に向けた流通インフラの整備などが柱となっている。これらの施策により、農家の所得増加と生産コストの削減を目指す。

また、農業資材や人件費の高騰により生産コストが上昇していることも、農家経営を圧迫している。農家の所得を守るため、価格補填や新たな直接支払制度の創設を求める声も強い。政府は今後5年間を「農業構造転換の集中対策期間」と位置づけ、これらの課題に対応するための予算編成を検討している。

森山幹事長らは、同日小泉農林水産大臣にも同様の要望を伝えた。小泉大臣は「日本の米政策、農業政策が変わっていく前向きなメッセージが必要だ」と述べ、理解を示した。

一方で、このような大規模な予算措置については、与党内外からさまざまな意見が出ている。農業分野への支援が特定の利益誘導になるのではないかという指摘や、農政の失敗を補うための措置ではないかという批判もある。また、国民全体の所得向上を優先すべきだという意見や、農業以外の分野とのバランスを問う声も上がっている。

政府は今後、2025年度から2029年度までを農業構造転換の集中期間と位置づけ、今回の要請内容を踏まえた予算編成を検討する方針である。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。