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米中で駐日大使がSNSで激論 日本海産物・六四事件・ハーバード留学生問題で対立

2025/06/06
更新: 2025/06/07

アメリカの新任駐日大使ジョージ・グラス氏と中国共産党(中共)駐日大使の呉江浩が、SNS上で激しい論争を展開していた。議論の焦点は、日本産海産物の禁輸措置から、六四天安門事件、さらにはハーバード大学の留学生問題にまで及び、日米中三国の複雑な関係が鮮明となった。

米大使「日本と連携し中共の拡張に対抗」

4月18日に東京に着任したグラス大使は、着任直後から「日米両国は、中共の軍事・経済的拡張に対し、連携を強化すべきだ」と訴えた。特に北京の「掠奪的な慣行」として、過剰な貸付や貿易ルールの無視などに懸念を示し、それへの対応こそが両国の経済・安全保障協力の鍵であると主張した。

日本産海産物の禁輸解除を巡る応酬

5月30日、日本政府は、福島第一原発の処理水放出問題に関連して停止していた日本産水産物の中国向け輸出について、日中両国が手続きを開始することで合意に至ったと発表した。ただし、実際の輸出再開にはなお時間を要する見込みである。

同日、グラス大使はX(旧Twitter)において、東京のレストランでトランプ大統領の元顧問ジェイソン・ミラー氏とともに、北海道産ホタテを味わう様子を投稿した。大使は「新鮮な北海道ホタテはどんな料理にも合うが、北京では楽しめない。中国(中共)が日本産海産物に対する不合理な禁輸を解除すれば、中国の消費者もその安全性を体感できるはずだ」と述べた。

さらに6月2日には、「海鮮と和牛の贅沢な組み合わせはまだ先だ。中国(中共)は、日本産海産物の禁輸解除に合意したが、20年間続く日本和牛の禁輸は依然として続いている。だからこそ多くの中国人が日本に移住し、美食と日常の自由を享受している」と投稿した。

中国人の日本移住が加速

日本政府がビザ要件を緩和したことで、中国の富裕層だけでなく中間層も日本への移住を進めていた。入国管理局の統計によれば、2024年末時点で日本に居住する中国人は87万人に達し、2026年には100万人を超える見通しとなり、中国人は、日本国内で最大の外国人コミュニティを構成した。

中共大使が反論 USスチール買収やハーバード問題を持ち出す

6月3日、呉江浩大使は、グラス大使の投稿に反論した。呉大使は「グラス大使は、日中間の貿易や人的交流といった自身の職務範囲外の問題に関心を示したが、それよりも、日本製鉄によるUSスチール買収や、ハーバード大学の留学生(日本人を含む)の将来について、目を向けるべきではないか」と指摘した。

天安門事件36周年で緊張高まる

6月4日の天安門事件36周年を前に、グラス大使は「自由と民主主義は常に闘う価値がある」と表明し、「タンクマン」の写真をX上に投稿した。さらにマルコ・ルビオ米国務長官の「36年前の天安門広場での中共の残虐な弾圧を忘れない。自由、民主、自治は中共が消し去ることのできない普遍的価値である」との発言もリツイートした。

これに対し呉江浩大使は、アメリカにおける警察の強制的な法執行の映像を投稿し、アメリカの民主主義を揶揄した。

ハーバード留学生問題で再び応酬

呉大使が、ハーバード大学の留学生問題に言及したことを受け、グラス大使は「学生に言及した呉大使の発言は興味深い。アメリカは学び、思考を広げる意志を持つ学生を歓迎する。天安門事件後に中国を離れ、アメリカに渡った学生たちも同様である」と応じた。

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